標本調査の公式|全数調査との違い・無作為抽出・母集団を比で推定する理由と例題(池の魚・玉の数)【中学3年・高校受験】

標本調査の公式|全数調査との違い・無作為抽出・母集団を比で推定する理由と例題(池の魚・玉の数)【中学3年・高校受験】

合格大作戦 算数・数学公式辞典 › 場合の数・確率

高校受験

母集団の中の個数≒母集団の大きさ×標本の中の個数標本の大きさ\text{母集団の中の個数}\fallingdotseq\text{母集団の大きさ}\times\frac{\text{標本の中の個数}}{\text{標本の大きさ}}

標本は無作為に取り出す(標本の割合 ≒ 母集団の割合)

この公式のポイント

  • 全部調べる全数調査、一部を調べる標本調査
  • 標本は無作為に取り出す(かたよりをなくす)
  • 標本の割合 ≒ 母集団の割合で、比例式を立てて推定
  • 混ぜた玉・印をつけた魚は引き忘れに注意
うかるくん

うかるくん

一部しか調べないのに、どうして全体の数が分かるの?

合格先生

合格先生

無作為に選べば、標本の割合は母集団の割合にほぼ等しい。その比で推定するんだ。

標本調査と母集団の推定

調べたい集団全部を調べるのが全数調査、集団の一部を取り出して調べ、全体のようすを推定するのが標本調査です。調べたい集団全体を母集団、取り出した一部を標本、標本に入っているものの個数を標本の大きさといいます。

標本調査で全体の個数を推定する式

標本を無作為に取り出せば、標本での割合 ≒ 母集団での割合 と考えてよい。

母集団の中の個数≒母集団の大きさ×標本の中の個数標本の大きさ\text{母集団の中の個数}\fallingdotseq\text{母集団の大きさ}\times\frac{\text{標本の中の個数}}{\text{標本の大きさ}}

比例式で書くと (標本の中の個数):(標本の大きさ)=(母集団の中の個数):(母集団の大きさ)

母集団(108個)無作為標本(12個)標本の赤 3/12=1/4 → 母集団の赤も約1/4
母集団から無作為に取り出した標本の割合は、母集団の割合に近い
全数調査標本調査
調べるもの集団の全部集団の一部(標本)
よい点正確な値がわかる時間・費用・手間が少ない
向いている例国勢調査、学校の健康診断、入学試験世論調査、テレビの視聴率、缶詰や電球の品質検査

なぜ「比」で全体を推定できるのか

理由は無作為抽出にあります。無作為抽出とは、母集団のどの1個も同じ確からしさで選ばれるように取り出すことです(乱数さい・乱数表・コンピュータの乱数などを使います)。

母集団 NN 個の中に、調べたいもの(たとえば赤い玉)が XX 個あるとします。無作為に1個取り出すとき、それが赤である確率は XN\dfrac{X}{N} です。これを nn 個取り出すと、赤はおよそ

n×XN 個n\times\frac{X}{N}\ \text{個}

ふくまれると考えられます。実際に標本の中に赤が aa 個あったなら a≒n×XNa\fallingdotseq n\times\dfrac{X}{N}。これを XX について解くと

X≒N×an(an≒XN)X\fallingdotseq N\times\frac{a}{n}\qquad\left(\frac{a}{n}\fallingdotseq\frac{X}{N}\right)

つまり「標本での割合」と「母集団での割合」がほぼ等しいことが、推定の根拠です。さいころを何回もふると1の目の割合が 16\dfrac16 に近づくのと同じで、標本の大きさが大きいほど、標本の割合は母集団の割合に近くなりやすくなります。逆に、選び方にかたよりがある(無作為でない)と、この「ほぼ等しい」がくずれてしまいます。

池の魚の数を調べる方法(印をつけて放し、もう一度とる)も同じ考え方です。印のついた魚が池全体にまんべんなく混ざったあとでとれば、とった魚の中の印の割合 ≒ 池全体の中の印の割合 になります。

印 4匹とった魚 60匹標本印 50匹池全体 x匹母集団同じ割合(1/15)4:60=50:x → x=750(およそ750匹)
池の魚:とった60匹のうち印4匹。池全体でも印の割合は同じと考える

高校受験(中学3年)での使い方

高校受験

例題1(全数調査か標本調査か)

次の調査は全数調査と標本調査のどちらが適切ですか。(ア)国勢調査 (イ)テレビ番組の視聴率調査 (ウ)学校で行う健康診断 (エ)工場でつくった缶詰の品質検査

解き方

(ア)国全体のようすを正確に知る必要がある → 全数調査。(イ)全世帯を調べるのは時間・費用がかかりすぎる → 標本調査。(ウ)一人ひとりの健康を調べるのが目的 → 全数調査。(エ)検査すると缶をあけて売れなくなる → 標本調査。

答え 全数調査:ア・ウ 標本調査:イ・エ

高校受験

例題2(混ぜた玉から推定)

白玉だけがたくさん入った箱に、黒玉 300 個を入れてよくかき混ぜました。そこから無作為に 80 個取り出すと、黒玉が 12 個ふくまれていました。箱の中の白玉はおよそ何個と考えられますか。

解き方

箱の中の玉全部を xx 個とすると、黒玉の割合が等しいと考えて 12:80=300:x12:80=300:x。12x=2400012x=24000 より x=2000x=2000。

これは黒玉もふくめた数なので、白玉は 2000−300=17002000-300=1700(個)。

答え およそ 17001700 個

高校受験

例題3(池の魚)

ある池で魚を 50 匹とり、すべてに印をつけて池にもどしました。数日後に魚を 60 匹とると、印のついた魚が 4 匹いました。池の魚はおよそ何匹と考えられますか。

解き方

池の魚を xx 匹とすると、印の割合が等しいと考えて 4:60=50:x4:60=50:x。4x=30004x=3000 より x=750x=750。

答え およそ 750750 匹

よくある間違い

腕でバツを作る合格先生

合格先生

混ぜた玉の引き忘れに注意だ。例題2では、あとから混ぜた黒玉300個を引くんだぞ。

  • 入れた分を引き忘れる:例題2で「全体2000個」を白玉の数として答えてしまう。あとから混ぜた黒玉300個を引く。
  • かたよった選び方:「部活の希望を、サッカー部員だけに聞く」「駅前で朝だけ聞く」などは無作為ではないので、全体の推定に使えない。
  • 推定値を正確な値のように書く:標本調査の答えは「およそ ○ 個」。標本が小さいと誤差も大きくなる。

練習問題

指さして説明するサクラちゃん

サクラちゃん

答えは「およそ○個」と書くのを忘れずに。

  1. 高校受験 ある中学校の生徒 600 人から無作為に 50 人を選んで調べると、30 人が毎朝朝食をとっていました。この中学校で毎朝朝食をとっている生徒はおよそ何人と考えられますか。
    答えと解説を見る600×3050=360600\times\dfrac{30}{50}=360。およそ 360 人
  2. 高校受験 袋に入った米つぶに、赤くそめた米つぶ 200 つぶを混ぜてよくかき混ぜ、無作為に 100 つぶ取り出すと、赤い米つぶは 8 つぶでした。袋にもともと入っていた米つぶはおよそ何つぶですか。
    答えと解説を見る全体を xx つぶとして 8:100=200:x8:100=200:x、x=2500x=2500。もともとの米つぶは 2500−200=23002500-200=2300。およそ 2300 つぶ
  3. 高校受験 ある工場で作った製品 10000 個から無作為に 400 個を取り出して調べると、不良品が 6 個ありました。10000 個の中の不良品はおよそ何個と考えられますか。
    答えと解説を見る10000×6400=15010000\times\dfrac{6}{400}=150。およそ 150 個

関連する公式

よくある質問

標本調査と全数調査のちがいは?

全数調査は集団の全部を調べ、標本調査は一部(標本)を取り出して調べて全体を推定します。標本調査は時間や費用が少なくてすみ、品質検査のように調べるとこわれるものにも使えます。

無作為抽出とは何ですか?

母集団のどれもが同じ確からしさで選ばれるように標本を取り出すことです。乱数さい、乱数表、コンピュータの乱数などを使います。

なぜ比で母集団の個数を推定できるのですか?

無作為に取り出すと、1個が調べたいものである確率は母集団での割合と同じなので、標本での割合が母集団での割合にほぼ等しくなるからです。

標本の大きさは大きいほうがよいですか?

一般に、標本の大きさが大きいほど推定の誤差は小さくなりやすくなります。ただし時間や費用とのかね合いで大きさを決めます。

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出典・参考

  • 文部科学省「中学校学習指導要領(平成29年告示)」数学 第3学年(標本調査)

最終更新:2026年10月11日/作成:大学受験合格大作戦