
この記事の結論
- マーク式の模試で高得点なのに京大型の記述模試で点が取れない人は、解法の暗記にかたより、「ちょっとした発想力」が足りないことが多い
- 発想力は「良問」を時間をかけてじっくり解くことで身につく。良問とは京大の過去問と予想問題(模試の過去問)
- 高2で偏差値70前後なら、学校の授業+黄チャート+4STEPなどを土台に、1対1対応の演習(難しければチョイス新標準問題集)を足し、数Ⅲ・数Cを早めに終える
この記事は、読者の方からいただいた2つの相談に答える形で、京都大学(京大)の2次試験(個別学力検査)の数学対策と、高2からの数学の勉強法をまとめたものです。もとの記事は2011年に書きました。2026年に、今の教育課程(数学Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・A・B・C)や大学入学共通テスト(共通テスト、旧センター試験)に合わせて書き直し、図を足しています。
京大数学の出題分野の傾向は「京大理系数学 出題分析」「京大文系数学 出題分析」に、1999年度からの大問を年度ごとにまとめています。あわせて読むと、この記事の「良問をじっくり」がなぜ効くのかがよく分かります。
いただいた相談(京大工学部志望の浪人生・高2の受験生)
マサさんから(京大工学部志望の浪人生)
「京大工志望の浪人です。マーク模試ではA判定とれます。京大型の記述模試などの京大模試ではC判定がやっとです。特に数学がヤバくて30点とれません。マークの数Ⅰではたまに100点とれます。京大2次数学で得点できるアドバイスお願いします。」
生活習慣さんから(高2)
「数学は今偏差値70程なんですが、黄色チャートしかやってないんでずが、なにかやったほうがいいですか?」
というご質問をいただきました。まずマサさんへの答えとして「京大数学2次試験対策」を、そのあと生活習慣さんへの答えとして「高2の数学勉強法」をお話しします。
京大 数学 2次試験で点が取れない原因
マーク式の模試(数学)で高得点をとれるのに、京大型の模試(数学)で得点を取れない人の傾向として、暗記型の勉強をしてきた人をよくみかけます。
京大数学に必要な「ちょっとした発想力」
私は、京大の数学は「とんでもない難問」で差がつく試験ではないと考えています。多くの問題は、基礎学力に「ちょっとした発想力」があれば解ける良問です(もちろん年度によっては難しい年もあります)。
暗記型の勉強をしてきた人は、この「ちょっとした発想力」が欠けている場合が多いのです。また、数学に時間をかけているのに筆記型(記述式)の模試では得点が伸びないという人にも、「ちょっとした発想力」が欠けている場合が見うけられます。
共通テスト型の問題は、問題文の誘導にそって進めば答えにたどりつけるように作られています。いっぽう京大の2次試験は、誘導がほとんどなく、どこから手をつけるかを自分で決める問題が中心です。しかも答えの数字だけでなく、考え方の筋道も採点されます。「解き方を覚えている問題なら解ける」状態では、見たことのない形で出されたときに手が止まってしまいます。
京大の数学の試験の形(理系・文系)
| 区分 | 試験時間 | 大問 | 配点 | 形式 |
|---|---|---|---|---|
| 理系(理・工・医・薬・農など) | 150分 | 6題 | 200点 | すべて記述式 |
| 文系(文・法・経済など) | 120分 | 5題 | 150点 | すべて記述式 |
※表の配点は問題そのものの点数(素点)です。実際の配点は学部ごとに換算されます(工学部は250点、理学部は300点、文学部は100点など)。
1題に25分前後かけられる計算です。「速く解く」よりも「じっくり考えて、正しい筋道で書ききる」ことが求められる試験だと分かります。分野の出やすさは理系の出題分析・文系の出題分析を見てください。
京大 数学 勉強法:「良問」を時間をかけてじっくり解く
「ちょっとした発想力」を身につけるには、
「良問」を時間をかけてじっくり解く!
ということをやってください。
うかるくん
問題集をたくさん解いたほうが、いろんな問題に慣れるんじゃないですか?
合格先生
数をこなすのは「段階1」までは大事じゃ。でも京大の数学は、答えを見ずに30分、1時間と考えた経験がものをいう。1題を深く考えるほうが、発想の引き出しが増えるんじゃよ。
うかるくん
じゃあ、わからなくてもすぐに解答を見ないほうがいいんですね。
合格先生
そのとおり。考えた末に解答を読むと「どこで気づけばよかったか」がはっきり分かる。そこが力になるんじゃ。
じっくり解くときの手順
- 考える:答えを見ずに粘ります。図をかく、小さい数で試す、条件を言いかえる、などをためします。
- 方針を書く:「この問題は〇〇を使えばいけそう」と、方針を1〜2行でメモします。あとで解答と比べるためです。
- 答案を書く:京大は記述式です。途中式だけでなく「なぜそうなるか」を文章で書く練習をします。
- 解答と比べる:正解かどうかより、発想の入口(何に気づけば解けたか)を探します。
- 解き直す:数日後に、白紙から解き直します。方針がすぐ浮かべば、その問題は自分のものです。
使う公式や用語があいまいなときは、「算数・数学公式辞典」「数学用語辞典」で、証明や意味までさかのぼって確かめると、発想の土台が太くなります。
京大 数学 過去問と予想問題の使い方
では、良問とはどんな問題を解けばよいのでしょうか。ズバリ「京大の過去問」と「予想問題集(模試の過去問題)」です。
京大の過去問(赤本)
まずは赤本で過去7年分を解くのがおすすめです。浪人生で、昨年も京大を受験していて過去問を解いたことがある人でも、最近4年分の京大過去問(数学)は必ず解き直しておきましょう。
もっと古い過去問(〇〇カ年)はやるべき?
京大の理系数学〇〇カ年(教学社の難関校過去問シリーズ)のように、何十年分もの過去問を集めた本もあります。2011年にこの記事を書いたときは「学習指導要領も難易度も違う古い問題はやる必要はありません(余力があればやりましょう)」と書きました。
今も考え方は同じで、まずは最近の年度を優先しましょう。そのうえで、古い年度の問題は「分野別の良問集」として使えます。ただし、今の教育課程にない分野(たとえば2011年当時の数学Cにあった「行列」)は飛ばしてかまいません。反対に、複素数平面は今の教育課程では数学Cに入っています。教育課程による範囲の移り変わりは「新課程の「複素数平面」」にまとめています。
予想問題(模試の過去問)と通信添削
過去問の7年分を終えたら、京大数学の予想問題集をやっていきましょう。Amazonでは買えないものもありますが、大手予備校の京大型模試の過去問題集が大きな書店で売られていることがあります。京大の出題傾向を研究して作られた問題なので、良問がそろっています。
また、通信添削の京大理系数学のコースで、京大特有の出題傾向をふまえた問題を解いていくのもおすすめです。毎月きちんと提出するのが難しい場合は、「京大の予想問題」だと割り切って手元にストックしておきましょう。
京大 数学 問題集:過去問が難しいと感じたら
過去問題集や予想問題集が難しいと感じる場合は、「大学への数学」シリーズの1対1対応の演習で演習を重ねるとよいでしょう。
- 大学への数学 1対1対応の演習 数学Ⅰ
- 大学への数学 1対1対応の演習 数学A
- 大学への数学 1対1対応の演習 数学Ⅱ
- 大学への数学 1対1対応の演習 数学B
- 大学への数学 1対1対応の演習 数学Ⅲ
- 大学への数学 1対1対応の演習 数学C
教育課程が変わると、本の分け方(どの分野が何巻に入るか)も変わります。買うときは、自分の学年の教育課程に合った版かを確かめてください。青チャートや1対1をいつまでに仕上げるかは「青チャートと1対1対応の演習はいつまでに終わらせる?」でくわしく書いています。
時間がない人には「数学の底力」
入試まで時間のない人や、手っ取り早く「ちょっとした発想力」を身につけたい人には、「難関大突破 数学の底力(Top Grade)」がおすすめです。
問題数は少なめ(2011年当時の版で126題)ですが、非常に良問ぞろいです。ちょっとした発想力を鍛えるためにはもってこいの問題集です。
現役生の場合、問題数が少ないためこれだけでは演習不足です。「1対1対応の演習」と並行して進めるとよいでしょう。
| 問題集 | 役割 | こんな人に |
|---|---|---|
| 学校の問題集(4STEP・4TRIALなど) | 授業の復習。すべての土台 | 全員(とくに現役生) |
| 黄チャート(チャート式 解法と演習) | 基礎〜標準の解法をひととおり | 学校で指定されている人 |
| チョイス新標準問題集 | 1対1より少し易しめの良問 | 1対1が難しいと感じる人 |
| 1対1対応の演習 | 入試の標準問題で実戦力 | 京大・旧帝大を目指す人 |
| 難関大突破 数学の底力 | 発想力を鍛える良問 | 時間がない人・基礎のある浪人生 |
| 京大の過去問・予想問題 | 京大の形式に慣れる | 仕上げの段階の人 |
京大工学部志望の浪人生(マサさん)への答え
マサさんの場合、マーク式の模試でA判定がとれ、共通テスト型の数学で満点近く取れることもあるので、ある程度の基礎力はありそうです。足りないのは「ちょっとした発想力」と、記述式の答案を書く経験だと思います。
- まず「難関大突破 数学の底力」で、発想力を鍛える良問に取り組む
- つぎに「京大の過去問」を7年分
- そのあと「予想問題(模試の過去問)」で演習を重ねる
- 直前期に、最近4年分の過去問は必ず解き直す
わからなくてもすぐに解答を見るのではなく、じっくり考える習慣をつけることが重要です。
京大工学部は数学の配点が大きい
京大の工学部は、個別試験(2次試験)で数学の配点がとても大きい学部です。2027年度の個別試験は国語100点・数学250点・理科250点・外国語200点で、数学は800点のうち約3割をしめます。数学で30点しか取れない状態では、ほかの科目でどれだけがんばっても合格はきびしくなります。逆にいえば、数学を立て直せば一気に合格に近づきます。
工学部の配点の移り変わりは「京大工学部の配点」、学部ごとの配点は「京大の学部別の配点」にまとめています。京大受験生にとって数学がどれだけ大事かは「京大受験生が思っている以上に数学は重要」も読んでみてください。
「時間をかければ解ける」段階を通る
京大数学を解けるようになる前段階では、
「時間さえかければほとんどの問題を解答できるようになる」
という段階があります。その段階に到達してから、
「時間内に京大の問題を解ききる」
という段階に進んでいきます。
京大型の模試でC判定が続く人の多くは、まだ「段階2」の途中にいます。ここで焦って時間を計った演習ばかりすると、考える力が育たないまま本番をむかえてしまいます。問題をたくさん解くのではなく、良質の問題をじっくり考えながら解くことが重要です!

合格先生
「時間をかければ解ける」まで来たら、あとは時間を計って過去問を解くだけじゃ。この順番を飛ばさないこと!
高2の数学勉強法(黄チャートで偏差値70の人へ)
ここからは、生活習慣さんへの答えです。
黄チャートはそのまま続けてよい
大阪大学(阪大)・九州大学(九大)など旧帝大の理系を目指す生徒には「青チャート」をおすすめしていますが、すでに黄色チャート(黄チャート)をやっておられるということですので、「黄色チャート」を継続してやっていくことをおすすめします。途中で参考書を変えると、それまでの積み上げがむだになりやすいからです。
現在高2ということですので、黄色チャート以外に4STEPや4TRIALなどの問題集もやっていることと思います(学校で黄色チャートを指定していることから、3TRIALかもしれませんが、3TRIALでもOKです)。
基本は
学校の授業+黄色チャート+4STEPなどの問題集
です。
足すなら「1対1対応の演習」か「チョイス新標準問題集」
これに加えて「1対1対応の演習」をやっていくのがおすすめです。「1対1対応の演習」が難しいと感じる場合は、「チョイス新標準問題集」がおすすめです。1対1対応の演習より少し易しめの良問がそろっています。
サクラちゃん
偏差値70あるなら、もっと難しい問題集に変えたほうがいいんじゃないですか?
合格先生
模試の偏差値は「今までに習った範囲」の力じゃ。高2だと数Ⅲ・数Cはまだこれからじゃろう?
サクラちゃん
たしかに、まだ習っていない分野がたくさんあります…。
合格先生
だから今は、黄チャートと学校の問題集で全範囲の土台を固めて、1対1を1冊足す。なるべく早く数Ⅲ・数Cまで終わらせて、過去問に進むのがいちばんの近道じゃ。
数Ⅲ・数Cを早く終わらせる
学校の授業の進み方にもよりますが、なるべく早く数Ⅲ・数Cまで終わらせて、過去問や予想問題といった志望校の傾向にそった問題に着手しましょう。京大の理系数学では、微分・積分(数学Ⅲ)や、ベクトル・複素数平面(数学C)もよく出ます。習い終わるのが遅いと、過去問を解く時間が足りなくなります。
今の教育課程では、数学は「数学Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ」と「数学A・B・C」に分かれていて、2025年の入試からこの教育課程で出題されています。単元の全体像は「数学まとめ」で、学年別・分野別に見わたせます。

サクラちゃん
黄チャートと4STEPで土台、1対1を1冊足して、数Ⅲ・数Cを早めに終わらせる。わたしの計画、これで決まり!
共通テスト(旧センター試験)の数学との両立
もとの記事では「センター試験対策についてはまた時間のあるときにまとめたいと思います」と書きました。今はセンター試験は終わり、大学入学共通テスト(2021年から)になっています。
京大の2次試験のために「じっくり考える」勉強をしていれば、共通テストの数学でも、見たことのない形の問題に落ち着いて対応できます。ただし共通テストは時間との勝負なので、直前期に共通テスト型の問題を時間を計って解く練習は別に必要です。マサさんのように、マーク式でA判定が取れている人は、2次試験の対策を中心にしてよいでしょう。
まとめ:京大数学は「良問をじっくり」
- マーク式で取れて記述式で取れないのは、暗記型の勉強で「ちょっとした発想力」が足りないことが多い
- 良問=京大の過去問(まず7年分)と予想問題(模試の過去問)。浪人生も最近4年分は必ず解き直す
- 難しいと感じたら1対1対応の演習、時間がなければ難関大突破 数学の底力
- 「時間をかければ解ける」→「時間内に解ききる」の順に進む
- 高2は学校の授業+黄チャート+4STEPを土台に、1対1(またはチョイス)を足し、数Ⅲ・数Cを早めに
京大数学の勉強法の全体像は「京大受験数学の勉強法」、参考書選びは「京大受験(理系・数学)おすすめ参考書・勉強法」「京大合格までのお勧め参考書(数学)」にもまとめています。勉強の悩みは「受験の質問・相談」からどうぞ。

よくある質問
マーク模試はA判定なのに京大型模試で数学が取れないのはなぜですか?
解法の暗記にかたよった勉強だと、誘導の少ない記述式の問題で方針が立てられないためです。良問をじっくり考えて「ちょっとした発想力」を鍛えましょう。
京大数学の対策にはどんな問題を解けばいいですか?
京大の過去問(まず過去7年分)と、京大型模試の過去問などの予想問題がおすすめです。難しいと感じる場合は1対1対応の演習で力をつけてから取り組みます。
京大の理系数学の試験時間と配点は?
前期日程の理系数学は試験時間150分・大問6題・200点で、すべて記述式です。文系数学は120分・大問5題・150点です。これは素点で、実際の配点は学部ごとに換算されます(工学部250点、理学部300点、文学部100点など)。
高2で黄チャートしかやっていませんが、青チャートに変えるべきですか?
変える必要はありません。学校の授業と黄チャート、4STEPなどの問題集を土台に、1対1対応の演習(難しければチョイス新標準問題集)を足すのがおすすめです。
京大の工学部は数学の配点が大きいですか?
大きいです。2027年度の工学部の個別試験は国語100点・数学250点・理科250点・外国語200点で、数学は800点のうち約3割です。
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- 京大文系数学 出題分析
- 青チャートと1対1対応の演習はいつまでに終わらせる?
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- 京大受験生が思っている以上に数学は重要
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出典・参考
- 京大数学の試験時間・大問数・配点、工学部の個別試験の配点(2027年度)は、合格大作戦「京大理系数学 出題分析」「京大文系数学 出題分析」で京都大学の公表資料をもとに確かめた内容
- 文部科学省 高等学校学習指導要領(平成30年告示)数学(数学Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・A・B・C)
- 勉強の進め方・問題集の難しさの目安は、京大受験指導の経験にもとづく筆者の考えです
最終更新:2026年10月21日/作成:大学受験合格大作戦











