余事象とは?意味と「少なくとも」の確率の求め方をわかりやすく【例題・問題つき】|合格大作戦 数学用語辞典

余事象とは?意味と「少なくとも」の確率の求め方をわかりやすく【例題・問題つき】|合格大作戦 数学用語辞典

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余事象とは

事象 AA に対して、「AA が起こらない」という事象を AA の余事象といい、A‾\overline{A} と書きます。P(A‾)=1−P(A)P(\overline{A})=1-P(A) が成り立つので、「少なくとも〜」の確率は、余事象を 1 から引くと求めやすくなります。

読み方:よじしょう/英語:complementary event/習う学年:中学2年(起こらない確率)・数学A(場合の数と確率)

うかるくん

うかるくん

コインを 4 回投げて「少なくとも 1 回表」って、1 回・2 回・3 回・4 回の場合を全部数えるんですか?

合格先生

合格先生

それだと大変だね。反対の「4 回とも裏」なら 1 通りだけ。その確率 116\dfrac1{16} を 1 から引けば 1516\dfrac{15}{16}。これが余事象の考え方だ。

この用語のポイント

  • 余事象は「A が起こらない」事象。P(A‾)=1−P(A)P(\overline{A})=1-P(A)
  • 「少なくとも 1 回」の余事象は「1 回も起こらない」
  • 余事象は、同時に起こらないうえに合わせて全体になるもの

やさしく言うと

余事象は、「あることがらが起こらない」ということがらです。事象 AA の余事象を A‾\overline{A}(エー・バー)と書き、その確率は P(A‾)=1−P(A)P(\overline{A})=1-P(A) です。「余」は「残り」という意味で、全体から AA をのぞいた残り、ということです。

  • 降水確率:降水確率 30% なら、雨が降らない確率は 100−30=70100-30=70(%)。「降る」と「降らない」は、ちょうど全体を2つに分けています。
  • くじ引き:当たる確率が 15\dfrac15 なら、はずれる確率は 1−15=451-\dfrac15=\dfrac45。
  • テストの合格:「少なくとも1科目は 80 点以上」の反対は、「全科目 80 点未満」です。反対側のほうが、ずっと単純に言えます。

まとめると、起こる確率と起こらない確率をたすと、いつも 1。だから、数えにくいときは「起こらないほう」を数えて 1 から引けばよいのです。

A A (A が起こらない) 全事象 U(起こりうるすべて) P(A) = 1 − P(A)
全事象 U のうち、A の外側が余事象 A‾\overline{A}
ひらめいたサクラちゃん

サクラちゃん

「少なくとも」と書いてあったら、まず余事象! 反対側を数えて 1 から引くのね。

余事象の正しい組・まちがった組

○ 余事象になっている

  • 「少なくとも 1 回表」↔「1 回も表が出ない(全部裏)」
  • 「当たる」↔「当たらない(はずれる)」
  • 「2 個以上」↔「0 個または 1 個」
  • 「全員が合格」↔「少なくとも 1 人は不合格」
  • 「A または B」↔「A でも B でもない」

× 余事象になっていない

  • 「少なくとも 1 回表」↔「ちょうど 1 回表」(2 回・3 回表の場合が残っている)
  • 「全員が合格」↔「全員が不合格」(一部だけ不合格の場合がぬけている)
  • 「偶数の目」↔「3 の目」(1 と 5 がどちらにも入らない)
  • 「2 個以上」↔「2 個未満で 1 個」(0 個がぬけている)
  • 「A かつ B」↔「A でも B でもない」(正しくは「A でない または B でない」)

余事象は、もとの事象と(1) 同時に起こらない、(2) 合わせると全事象になる、の両方を満たします。(1) だけなら「排反(はいはん)」で、余事象とはかぎりません。たとえば、さいころの「偶数の目」と「3 の目」は排反ですが、1 と 5 がどちらにも入らないので、余事象ではありません。

図で見る

コインを 3 回投げて「少なくとも 1 回表が出る」確率を考えます。8 通りのうち 7 通りを数えるより、残りの 1 通りを数えるほうが簡単です。

コインを 3 回投げる:全 8 通り 表表表表表裏表裏表表裏裏裏表表裏表裏裏裏表裏裏裏 青=少なくとも 1 回表(7 通り) 赤=余事象(1 通り) 1 − 1/8 = 7/8
7 通りを数えるより、余事象の 1 通りを数えるほうが速い

さいころ 2 個で「少なくとも 1 個は 6」を考えるときも、余事象を使うと、数えまちがいが起きにくくなります。

大の目 → 小の目 11○22○33○44○55○66○○○○○○ 5×5=25 どちらも 6 でない(余事象):25 通り 少なくとも 1 個は 6:1 − 25/36 = 11/36
余事象「どちらも 6 でない」は 5×5 の正方形。だから 1−25/36
うかるくん

うかるくん

「大が 6」が 6 通り、「小が 6」が 6 通りで、合わせて 12 通りじゃないんですか?

合格先生

合格先生

(6, 6) が両方に入っているから、2 回数えているんだ。正しくは 11 通り。余事象なら「5×5=25 通り」と一発で数えられて、重なりの心配がないんだよ。

余事象の使いどころ

次のような言葉が問題文にあったら、余事象を考えると楽になることが多いです。

問題の言葉余事象(反対側)例
少なくとも 1 回1 回も起こらないコイン 4 回で少なくとも 1 回表:1−(12)41-\left(\dfrac12\right)^4
少なくとも 1 個1 個もないさいころ 2 個で少なくとも 1 個 6:1−25361-\dfrac{25}{36}
〜以上(たとえば 2 回以上)〜未満(0 回か 1 回)「2 回以上」は「0 回」「1 回」を 1 から引く
積が偶数積が奇数(全部奇数)さいころ 2 個の積が偶数:1−9361-\dfrac9{36}
どれかが一致するどれも一致しない誕生日が同じ人がいる確率など

「何回投げれば、少なくとも 1 回 6 が出る確率が 12\dfrac12 をこえるか」も、余事象で考えると見通しがよくなります。

1/2 0.1710.3120.4230.5240.6050.6760.7270.778 10 投げる回数 n(4 回で初めて 1/2 をこえる)
1−(5/6)ⁿ は、n=4 で初めて 1/2 をこえる

余事象の考え方は、集合でいう補集合と同じです。ド・モルガンの法則 A∪B‾=A‾∩B‾\overline{A\cup B}=\overline{A}\cap\overline{B} を使うと、「A または B」の余事象は「A でも B でもない」となります。

テスト・入試ではこう出る

中学 2 年の確率では、「(A の起こらない確率)= 1 −(A の起こる確率)」として学びます。高校の数学A(場合の数と確率)で「余事象」という名前と記号 A‾\overline{A} を習い、「少なくとも」をふくむ確率、積が偶数・倍数になる確率、反復試行と組み合わせた問題など、大学入試でもくり返し使います。

例題1(くじ)

当たり 2 本・はずれ 3 本の 5 本のくじから同時に 2 本引くとき、少なくとも 1 本は当たる確率を求めなさい。

  1. 「少なくとも 1 本当たる」の余事象は「2 本ともはずれ」。
  2. 5 本から 2 本の引き方は  5C2=10\,{}_5\mathrm{C}_2=10 通り。はずれ 3 本から 2 本は  3C2=3\,{}_3\mathrm{C}_2=3 通り。
  3. 2 本ともはずれの確率は 310\dfrac3{10}。求める確率は 1−310=7101-\dfrac3{10}=\dfrac7{10}。

答え 710\dfrac7{10}

直接数えると「1 本だけ当たり」6 通り+「2 本とも当たり」1 通り=7 通りで、710\dfrac7{10} と一致します。

例題2(回数を決める)

1 個のさいころを nn 回投げるとき、少なくとも 1 回 6 の目が出る確率が 12\dfrac12 より大きくなる最小の nn を求めなさい。

  1. nn 回投げて「少なくとも 1 回 6」の余事象は「nn 回とも 6 以外」で、その確率は (56)n\left(\dfrac56\right)^n。
  2. 求める確率は 1−(56)n1-\left(\dfrac56\right)^n。これが 12\dfrac12 より大きくなるのは (56)n<12\left(\dfrac56\right)^n<\dfrac12 のとき。
  3. (56)3=125216≒0.579\left(\dfrac56\right)^3=\dfrac{125}{216}\fallingdotseq0.579、(56)4=6251296≒0.482\left(\dfrac56\right)^4=\dfrac{625}{1296}\fallingdotseq0.482。

答え 4 回(4 回投げると、少なくとも 1 回 6 が出る確率は約 0.518)

机で勉強するうかるくん

うかるくん

余事象の確率を出したら、最後に「1 から引く」のを忘れないように!

まちがえやすい点

腕でバツを作る合格先生

合格先生

「少なくとも 1 回」の反対は「1 回も起こらない」。「ちょうど 1 回」ではない!

  • 「少なくとも 1 回」の反対を「ちょうど 1 回」にする:反対は「1 回も起こらない」です。「ちょうど 1 回」にすると、2 回以上の場合が残ってしまいます。
  • 最後に 1 から引き忘れる:余事象の確率 116\dfrac1{16} を、そのまま答えにしてしまうミスです。求めたいのは 1−116=15161-\dfrac1{16}=\dfrac{15}{16} です。
  • P(A)−1P(A)-1 と逆に引く:P(A‾)=1−P(A)P(\overline{A})=1-P(A) です。答えが負になったら、引く順番が逆です。
  • 排反と余事象を同じと思う:同時に起こらないだけでは余事象ではありません。合わせて全体になることも必要です。
  • 「全員が〜」の反対を「全員が〜でない」にする:「全員が合格」の反対は「少なくとも 1 人は不合格」です。

ことばと記号の由来

余事象の「余」は「あまり・残り」という意味で、全事象から AA をのぞいた残りの事象、ということです。英語では complementary event(コンプリメンタリー・イベント)といい、complement は「補うもの」という意味です。AA と A‾\overline{A} を合わせると全体が補われる、という見方です。記号は、補集合と同じ A‾\overline{A} を使います(AcA^c と書く本もあります)。

ミニ問題

問題1 あるくじで当たりを引く確率が 38\dfrac38 のとき、当たりを引かない確率を求めましょう。

答えと解き方を見る

58\dfrac58 です。「当たりを引かない」は「当たりを引く」の余事象なので、1−38=581-\dfrac38=\dfrac58。

問題2 コインを 4 回投げるとき、少なくとも 1 回は表が出る確率を求めましょう。

答えと解き方を見る

1516\dfrac{15}{16} です。余事象は「4 回とも裏」で、確率は (12)4=116\left(\dfrac12\right)^4=\dfrac1{16}。求める確率は 1−116=15161-\dfrac1{16}=\dfrac{15}{16}。

問題3 大小 2 個のさいころを投げるとき、少なくとも 1 個は 6 の目が出る確率を求めましょう。

答えと解き方を見る

1136\dfrac{11}{36} です。余事象は「どちらも 6 以外」で 5×5=255\times5=25 通り。1−2536=11361-\dfrac{25}{36}=\dfrac{11}{36}。「大が 6」6 通りと「小が 6」6 通りをたして 12 通りとすると、(6, 6) を 2 回数えてしまいます(図3)。

関連する公式・用語

公式辞典で、くわしい証明と例題を見る

あわせて覚えたい用語

よくある質問

余事象とは何ですか?

事象Aに対して「Aが起こらない」という事象のことです。Aの余事象はAの上に横線を引いて表します。

余事象の確率はどう求めますか?

1からもとの事象の確率を引きます。P(Aが起こらない)=1−P(A)です。

「少なくとも1回」の確率はどう求めますか?

余事象の「1回も起こらない」確率を求めて、1から引きます。直接数えるより簡単で、数えもれも起きにくくなります。

余事象と排反事象のちがいは?

排反は同時に起こらないことだけを表します。余事象は、同時に起こらず、しかも合わせると全事象になる事象です。

余事象と補集合の関係は?

同じ考え方です。全事象を全体集合と見ると、余事象は事象Aの補集合にあたり、同じ記号を使います。

余事象は何年生で習いますか?

中学2年で「起こらない確率=1−起こる確率」として学び、高校の数学Aで余事象という名前と記号を習います。

出典・参考

  • 文部科学省「中学校学習指導要領(平成29年告示)解説 数学編」第2学年 D データの活用(確率)
  • 文部科学省「高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 数学編」数学A(場合の数と確率)

最終更新:2026年10月13日/作成:大学受験合格大作戦