展開とは?分配法則と乗法公式をわかりやすく【例題・問題つき】|合格大作戦 数学用語辞典

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展開とは

かけ算の形の式のかっこをはずして、足し算(項の和)の形に直すことです。(x+2)(x+3)=x2+5x+6(x+2)(x+3)=x^2+5x+6 のように、分配法則を使って1つ1つかけて足します。反対の操作は因数分解です。

読み方:てんかい/英語:expansion/習う学年:中学3年(式の展開)。高校は数学Ⅰ

サクラちゃん

サクラちゃん

(x+3)2(x+3)^2 って、x2+9x^2+9 じゃないんですか?

合格先生

合格先生

おしい! (x+3)(x+3)(x+3)(x+3) を1つ1つかけると、x×3x\times3 と 3×x3\times x が出てきて、まん中に 6x6x が入るよ。(x+3)2=x2+6x+9(x+3)^2=x^2+6x+9 だね。

この用語のポイント

  • 展開 = かっこをはずして足し算の形に直すこと
  • もとは分配法則 a(b+c)=ab+aca(b+c)=ab+ac。長方形の面積で考えるとわかりやすい
  • 展開の反対が因数分解。(a+b)2(a+b)^2 の 2ab2ab を忘れない

やさしく言うと

展開は、かけ算の形の式のかっこをはずして、足し算(項の和)の形に直すことです。(x+2)(x+3)(x+2)(x+3) を展開すると x2+5x+6x^2+5x+6 になります。

もとになるのは分配法則 a(b+c)=ab+aca(b+c)=ab+ac です。かっこの外の数を、中の1つ1つにかけて配るイメージです。身近な例で見てみましょう。

  • おやつを配る:3 人に「クッキー 2 まいとあめ 1 こ」のセットを配ると、全部でクッキー 6 まいとあめ 3 こ。3×(2+1)3\times(2+1) を「3×23\times2 と 3×13\times1」に分けて数えるのが分配法則です。
  • 暗算:12×1512\times15 は 12×(10+5)=120+60=18012\times(10+5)=120+60=180 と分けると楽です。102×98102\times98 も (100+2)(100−2)=10000−4=9996(100+2)(100-2)=10000-4=9996 と、展開の公式で暗算できます。
  • 部屋の床の広さ:L字や長方形がつながった部屋は、いくつかの長方形に分けて広さをたします。これを式にしたものが展開です。
a b c d acbc adbd (a+b)(c+d) = ac+ad+bc+bd
大きな長方形の面積を、4つの小さな長方形の面積の和で表す

まとめると、展開は「かたまりのかけ算」を「ばらばらのかけ算の合計」に直すことです。

展開の例と、まちがった展開

○ 正しい展開

  • 2(x+3)=2x+62(x+3)=2x+6
  • (x+2)(x+3)=x2+5x+6(x+2)(x+3)=x^2+5x+6
  • (x+3)2=x2+6x+9(x+3)^2=x^2+6x+9
  • (x+3)(x−3)=x2−9(x+3)(x-3)=x^2-9
  • −3(x−4)=−3x+12-3(x-4)=-3x+12
  • (2x+1)(x−3)=2x2−5x−3(2x+1)(x-3)=2x^2-5x-3

× まちがった展開

  • (x+3)2=x2+9(x+3)^2=x^2+9(6x6x が足りない)
  • −(x−2)=−x−2-(x-2)=-x-2(正しくは −x+2-x+2)
  • (x+2)(x+3)=x2+6(x+2)(x+3)=x^2+6(5x5x が足りない)
  • 2(x+3)=2x+32(x+3)=2x+3(3 にかけ忘れ)
  • (x−3)2=x2−6x−9(x-3)^2=x^2-6x-9(最後は +9+9)

図で見る:かけ算は何回?

(x+2)(x+3)(x+2)(x+3) のように、2項と2項のかけ算では、前の1つ1つと後ろの1つ1つを全部かけるので、かけ算は 2×2=42\times2=4 回です。1回でもぬけると、答えがまちがいます。

(x+2)(x+3) ① x² ② 3x ③ 2x ④ 6 x² + 3x + 2x + 6 = x² + 5x + 6
前の x と 2 を、後ろの x と 3 にそれぞれかける(4回)

3項 × 2項なら 3×2=63\times2=6 回、3項 × 3項なら 9 回です。項の数を先にかけておくと、かけ忘れのチェックになります。

サクラちゃん

サクラちゃん

(x+3)(x−3)(x+3)(x-3) は、どうして xx の項が消えるんですか?

合格先生

合格先生

4回かけると x2−3x+3x−9x^2-3x+3x-9 になるよね。−3x-3x と +3x+3x が打ち消し合って、x2−9x^2-9 が残るんだ。図でかくと、切りとった正方形の分を、ならべかえて長方形にできることが分かるよ。

b² a a a² − b² ならべかえ a + b a−b (a+b)(a−b) (a+b)(a−b) = a² − b²
正方形 a² から b² を切りとり、ならべかえると (a+b)(a−b) の長方形

乗法公式(よく使う展開の形)

よく出てくる形は、乗法公式として覚えておくと速く展開できます。どれも分配法則で1つ1つかけたものと同じです。

公式例
(x+a)(x+b)=x2+(a+b)x+ab(x+a)(x+b)=x^2+(a+b)x+ab(x+2)(x+3)=x2+5x+6(x+2)(x+3)=x^2+5x+6
(a+b)2=a2+2ab+b2(a+b)^2=a^2+2ab+b^2(x+3)2=x2+6x+9(x+3)^2=x^2+6x+9
(a−b)2=a2−2ab+b2(a-b)^2=a^2-2ab+b^2(x−4)2=x2−8x+16(x-4)^2=x^2-8x+16
(a+b)(a−b)=a2−b2(a+b)(a-b)=a^2-b^2(x+3)(x−3)=x2−9(x+3)(x-3)=x^2-9
a b a b a²b² abab 忘れやすい ab が2つ (a+b)² = a² + 2ab + b²
1辺 a+b の正方形には、ab の長方形が2つある
指し棒で説明する合格先生

合格先生

図を見れば一目でわかるね。(a+b)2(a+b)^2 には、abab の長方形が2つ入っているんだ!

高校の数学Ⅰでは (ax+b)(cx+d)=acx2+(ad+bc)x+bd(ax+b)(cx+d)=acx^2+(ad+bc)x+bd を、数学Ⅱでは (a+b)3=a3+3a2b+3ab2+b3(a+b)^3=a^3+3a^2b+3ab^2+b^3 のような3次の公式や、二項定理も学びます。

因数分解とのちがい

展開の反対が因数分解です。展開は「かけ算 → 足し算」、因数分解は「足し算 → かけ算」の形に直します。

(x+2)(x+3)(x+2)(x+3) ―展開→ x2+5x+6x^2+5x+6
x2+5x+6x^2+5x+6 ―因数分解→ (x+2)(x+3)(x+2)(x+3)

展開した式を因数分解するともとにもどるので、答えの確かめにも使えます。また、xx に数(たとえば x=1x=1)を入れて、展開の前と後で同じ値になるかを見るのも、手軽な確かめ方です。(x+2)(x+3)(x+2)(x+3) も x2+5x+6x^2+5x+6 も、x=1x=1 なら 12 です。

テスト・入試ではこう出る

中学3年の「式の展開」で乗法公式を習い、高校の数学Ⅰでさらに複雑な展開を学びます。テストでは、乗法公式を使う計算、係数のある式の展開、置きかえを使う展開、展開を使った数の計算の工夫がよく出ます。高校入試では、展開してから整理する計算問題がほぼ毎年のように出ます。

例題1(係数のある2乗)

(2x−3)2(2x-3)^2 を展開しなさい。

  1. 公式 (a−b)2=a2−2ab+b2(a-b)^2=a^2-2ab+b^2 で、a=2xa=2x、b=3b=3 とみる。
  2. a2=(2x)2=4x2a^2=(2x)^2=4x^2(係数の 2 も2乗する)。
  3. 2ab=2×2x×3=12x2ab=2\times2x\times3=12x。
  4. b2=9b^2=9。

答え 4x2−12x+94x^2-12x+9

例題2(置きかえ)

(x+y+1)(x+y−1)(x+y+1)(x+y-1) を展開しなさい。

  1. 同じかたまり x+yx+y を AA とおく:(A+1)(A−1)(A+1)(A-1)。
  2. 公式 (a+b)(a−b)=a2−b2(a+b)(a-b)=a^2-b^2 で:A2−1A^2-1。
  3. AA をもどして展開:(x+y)2−1=x2+2xy+y2−1(x+y)^2-1=x^2+2xy+y^2-1。

答え x2+2xy+y2−1x^2+2xy+y^2-1

同じ式のかたまりを1文字に置きかえると、公式がそのまま使えます。

ひらめいたサクラちゃん

サクラちゃん

同じかたまりを見つけたら1文字に置きかえる。式がすっきりして、ミスも減るね!

まちがえやすい点

腕でバツを作る合格先生

合格先生

(a+b)2(a+b)^2 は a2+b2a^2+b^2 ではない! まん中の 2ab2ab を忘れずに。

  • (a+b)2=a2+b2(a+b)^2=a^2+b^2 としてしまう:まん中の 2ab2ab を忘れるのが、いちばん多いまちがいです。a=b=1a=b=1 を入れると、(1+1)2=4(1+1)^2=4、12+12=21^2+1^2=2 でちがいます。
  • マイナスのかっこの符号ミス:−(x−2)-(x-2) は、かっこの中の全部の項の符号が変わって −x+2-x+2 です。
  • (a−b)2(a-b)^2 のまん中の符号:(x−4)2=x2−8x+16(x-4)^2=x^2-8x+16 です。最後の項は (−4)2=+16(-4)^2=+16 で、プラスになります。
  • 係数を2乗し忘れる:(2x)2(2x)^2 を 2x22x^2 とするまちがいです。正しくは 4x24x^2。かっこの中の係数も文字も両方2乗します。
  • 展開のあとで同類項をまとめ忘れる:x2+3x+2x+6x^2+3x+2x+6 で止めずに、x2+5x+6x^2+5x+6 と整理して答えます。

ことばの由来

「展開」は、たたんであるものを広げるという意味のことばです。かっこでまとめた式を、ばらばらの項に広げて並べるので、この名前で呼ばれます。英語では expansion(広げること)といいます。立体を広げた図を「展開図」と呼ぶのと同じ「展開」です。

ミニ問題

問題1 (x−5)(x+2)(x-5)(x+2) を展開しましょう。

答えと解き方を見る

x2−3x−10x^2-3x-10 です。公式 (x+a)(x+b)=x2+(a+b)x+ab(x+a)(x+b)=x^2+(a+b)x+ab で a=−5a=-5、b=2b=2。a+b=−3a+b=-3、ab=−10ab=-10 です。

問題2 展開の公式を使って、103×97103\times97 を暗算しましょう。

答えと解き方を見る

9991 です。103×97=(100+3)(100−3)=1002−32=10000−9=9991103\times97=(100+3)(100-3)=100^2-3^2=10000-9=9991。

問題3 (a+b+c)2(a+b+c)^2 を展開しましょう。

答えと解き方を見る

a2+b2+c2+2ab+2bc+2caa^2+b^2+c^2+2ab+2bc+2ca です。a+b=Aa+b=A とおくと (A+c)2=A2+2Ac+c2(A+c)^2=A^2+2Ac+c^2。A2=a2+2ab+b2A^2=a^2+2ab+b^2、2Ac=2ac+2bc2Ac=2ac+2bc なので、まとめると上の式になります。図でかくと、1辺 a+b+ca+b+c の正方形が、正方形3つと長方形6つに分かれます。

関連する公式・用語

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あわせて覚えたい用語

よくある質問

展開とは何ですか?

かけ算の形の式のかっこをはずして、足し算の形に直すことです。(x+2)(x+3)を展開すると、x²+5x+6になります。

展開と因数分解のちがいは何ですか?

展開はかけ算の形を足し算の形に直すこと、因数分解は足し算の形をかけ算の形に直すことです。2つは反対の操作です。

(a+b)²を展開するとどうなりますか?

a²+2ab+b²です。a²+b²とするのはまちがいで、まん中の2abを忘れないようにします。

展開は何年生で習いますか?

中学3年で、乗法公式を使った式の展開を習います。高校では数学Ⅰで、より複雑な式の展開を学びます。

分配法則とは何ですか?

a(b+c)=ab+ac のように、かっこの外の数を中の1つ1つにかけてよい、というきまりです。展開のもとになります。

展開の答えが合っているか確かめる方法は?

xに1などの数を入れて、展開の前と後で同じ値になるかを見ます。因数分解してもとにもどるかを見るのも確かめになります。

出典・参考

  • 文部科学省「中学校学習指導要領(平成29年告示)解説 数学編」第3学年 A 数と式(式の展開と因数分解)
  • 文部科学省「高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 数学編」数学Ⅰ(数と式)

最終更新:2026年10月13日/作成:大学受験合格大作戦