傍接円の半径 rₐ=S/(s−a) の公式|傍心の性質・接線の長さ s の証明と 1/r=1/rₐ+1/r_b+1/r_c【大学受験・発展】

傍接円の半径 rₐ=S/(s−a) の公式|傍心の性質・接線の長さ s の証明と 1/r=1/rₐ+1/r_b+1/r_c【大学受験・発展】

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大学受験

ra=Ss−a(s=a+b+c2)r_a=\frac{S}{s-a}\qquad\left(s=\frac{a+b+c}{2}\right)

rar_a は辺 aa(BC)の外側の傍接円の半径。SS は △ABC の面積

この公式のポイント

  • ra=Ss−ar_a=\dfrac{S}{s-a}:内接円 r=Ssr=\dfrac{S}{s} の分母が s−as-a に
  • 証明は△JAB+△JCA−△JBC(高さはどれも rar_a)
  • 頂点 A からの接線の長さは ss
  • 1ra+1rb+1rc=1r\dfrac1{r_a}+\dfrac1{r_b}+\dfrac1{r_c}=\dfrac1r
うかるくん

うかるくん

傍接円の半径って、内接円の r=Ssr=\dfrac{S}{s} と何がちがうの?

合格先生

合格先生

分母が s−as-a になるだけだ。△JAB と △JCA をたして、△JBC をひくからだぞ。

傍心と傍接円の半径の公式

三角形の1つの角の内側にあって、向かい合う辺と、ほかの2辺の延長に接する円を傍接円、その中心を傍心といいます。傍心は「∠A の二等分線」と「B・C の外角の二等分線」の交点で、1つの三角形に3つあります(三角形の五心)。

傍接円の半径(a=BC,b=CA,c=ABa=BC, b=CA, c=AB、s=dfraca+b+c2s=dfrac{a+b+c}{2}、SS=面積)

ra=Ss−a,rb=Ss−b,rc=Ss−c(内接円は r=Ss)r_a=\frac{S}{s-a},\qquad r_b=\frac{S}{s-b},\qquad r_c=\frac{S}{s-c}\qquad\left(\text{内接円は } r=\frac{S}{s}\right)

接線の長さ:A から ∠A 内の傍接円への接線の長さは AQ=AR=sAQ=AR=s。辺 BC 上の接点 P では BP=s−cBP=s-c、CP=s−bCP=s-b

角で表す:ra=stan⁡A2r_a=s\tan\dfrac{A}{2}

4つの円の関係:1ra+1rb+1rc=1r\dfrac1{r_a}+\dfrac1{r_b}+\dfrac1{r_c}=\dfrac1r、 r ra rb rc=S2\ r\,r_a\,r_b\,r_c=S^2

JABCPQRrₐ13・14・15 の三角形s=21、S=84rₐ=84÷(21−14)=12緑の点線:∠A の二等分線(J を通る)
∠A の内側で、辺 BC と2辺の延長に接する円が傍接円。中心 J が傍心

証明

① ra=Ss−ar_a=\dfrac{S}{s-a}(面積で証明)

傍心 J から3直線 BC、CA、AB までの距離は、どれも半径 rar_a です(J は3直線すべてに接する円の中心だから)。J と A、B、C を結ぶと、図のように

△ABC=△JAB+△JCA−△JBC\triangle ABC=\triangle JAB+\triangle JCA-\triangle JBC

となります。3つの三角形の高さはすべて rar_a なので

S=12c ra+12b ra−12a ra=b+c−a2 ra=(s−a) raS=\frac12c\,r_a+\frac12b\,r_a-\frac12a\,r_a=\frac{b+c-a}{2}\,r_a=(s-a)\,r_a

よって ra=Ss−ar_a=\dfrac{S}{s-a}。内接円の r=Ssr=\dfrac{S}{s}(内接円の半径)とくらべると、「たすところとひくところ」が1か所だけちがう形です。

JABC△JAB=½·c·rₐ△JCA=½·b·rₐ△JBC=½·a·rₐS=△JAB+△JCA−△JBC =½(b+c−a)rₐ=(s−a)rₐ
△JAB と △JCA を合わせて △JBC をひくと △ABC。高さはどれも rₐ

② 接線の長さ AQ=AR=sAQ=AR=s

円の外の点から引いた2本の接線の長さは等しい(接線の長さ)ので、AQ=ARAQ=AR、BQ=BPBQ=BP、CR=CPCR=CP。すると

AQ+AR=(c+BQ)+(b+CR)=b+c+(BP+CP)=a+b+c=2sAQ+AR=(c+BQ)+(b+CR)=b+c+(BP+CP)=a+b+c=2s

よって AQ=AR=sAQ=AR=s。さらに BP=BQ=s−cBP=BQ=s-c、CP=CR=s−bCP=CR=s-b です。

ABCPQR8866BQ=BP、CR=CPAQ+AR=a+b+c=2sAQ=AR=s(=21)BP=s−c=8、CP=s−b=6
同じ点からの接線の長さは等しいので、AQ+AR は三角形の周の長さ

③ ra=stan⁡A2r_a=s\tan\dfrac A2

直角三角形 AQJ で、AQ=sAQ=s、JQ=raJQ=r_a、AJ は ∠A の二等分線なので ∠QAJ=A2\angle QAJ=\dfrac A2。よって ra=stan⁡A2r_a=s\tan\dfrac A2。

④ 4つの円の関係

1ra+1rb+1rc=(s−a)+(s−b)+(s−c)S=3s−2sS=sS=1r\dfrac1{r_a}+\dfrac1{r_b}+\dfrac1{r_c}=\dfrac{(s-a)+(s-b)+(s-c)}{S}=\dfrac{3s-2s}{S}=\dfrac{s}{S}=\dfrac1r。またヘロンの公式 S2=s(s−a)(s−b)(s−c)S^2=s(s-a)(s-b)(s-c) から

r ra rb rc=S4s(s−a)(s−b)(s−c)=S4S2=S2r\,r_a\,r_b\,r_c=\frac{S^4}{s(s-a)(s-b)(s-c)}=\frac{S^4}{S^2}=S^2

大学受験での使い方

大学受験

例題1(傍接円の半径と接点)

AB=13AB=13、BC=14BC=14、CA=15CA=15 の △ABC で、辺 BC に接する傍接円の半径 rar_a と、その接点 P について BP の長さを求めなさい。

解き方

s=21s=21。ヘロンの公式で S=21⋅7⋅6⋅8=84S=\sqrt{21\cdot7\cdot6\cdot8}=84。ra=8421−14=12r_a=\dfrac{84}{21-14}=12。BP=s−c=21−13=8BP=s-c=21-13=8。

答え ra=12r_a=12、BP=8BP=8

大学受験

例題2(4つの円の関係を確かめる)

3辺が 3, 4, 53,\ 4,\ 5 の直角三角形で、内接円の半径 rr と、3つの傍接円の半径を求めなさい。

解き方

s=6s=6、S=6S=6。r=66=1r=\dfrac66=1。a=3a=3 の辺に接する円は 66−3=2\dfrac{6}{6-3}=2、44 の辺は 66−4=3\dfrac{6}{6-4}=3、55 の辺は 66−5=6\dfrac{6}{6-5}=6。確かに 12+13+16=1=1r\dfrac12+\dfrac13+\dfrac16=1=\dfrac1r、1⋅2⋅3⋅6=36=S21\cdot2\cdot3\cdot6=36=S^2。

答え r=1r=1、傍接円の半径は 2, 3, 62,\ 3,\ 6

大学受験

例題3(直角三角形の性質)

∠C=90∘\angle C=90^\circ の直角三角形 ABC で、斜辺 AB に接する傍接円の半径 rcr_c は ss に等しいことを示しなさい。

解き方

S=ab2S=\dfrac{ab}{2}、s−c=a+b−c2s-c=\dfrac{a+b-c}{2} より rc=aba+b−cr_c=\dfrac{ab}{a+b-c}。三平方の定理 c2=a2+b2c^2=a^2+b^2 から (a+b)2−c2=2ab(a+b)^2-c^2=2ab、つまり (a+b−c)(a+b+c)=2ab(a+b-c)(a+b+c)=2ab。よって rc=aba+b−c=a+b+c2=sr_c=\dfrac{ab}{a+b-c}=\dfrac{a+b+c}{2}=s。

答え rc=sr_c=s(示された)

高校の範囲をこえる内容と入試での使い方

教科書での位置:傍心そのものは、数学A(図形の性質)で五心の1つとして紹介されることがあります。しかし、傍接円の半径 ra=Ss−ar_a=\dfrac{S}{s-a} や 1ra+1rb+1rc=1r\dfrac1{r_a}+\dfrac1{r_b}+\dfrac1{r_c}=\dfrac1r は、教科書で公式として習う内容ではありません(発展)。

入試での使い方:

  • 記述式の答案では、上の「面積を3つの三角形に分ける」証明を1〜2行で書いてから使うのが安全です。証明が短いので、その場で導けるようにしておきましょう。
  • 「接線の長さが ss」は、傍接円が出てくる問題でいちばんよく使う性質です。接点の位置がすぐに分かります。
  • 答えの検算には、1ra+1rb+1rc=1r\dfrac1{r_a}+\dfrac1{r_b}+\dfrac1{r_c}=\dfrac1r や r ra rb rc=S2r\,r_a\,r_b\,r_c=S^2 が便利です。

よくある間違い

腕でバツを作る合格先生

合格先生

rar_a の分母は s−as-a だ。その円が接する辺 aa をひくんだぞ。

  • s−as-a の aa をまちがえる:rar_a は辺 aa(BC)の外側にある傍接円の半径。分母は「その円が接する辺」をひきます。
  • 面積をたすだけにする:内接円のときは3つの三角形をたしますが、傍接円では △JBC をひく。
  • ss を周の長さにする:ss は周の半分。接線の長さ AQAQ も周の半分です。

練習問題

ひらめいたうかるくん

うかるくん

頂点からの接線の長さは ss。これは使えそう!

  1. 大学受験 3辺が 5, 12, 135,\ 12,\ 13 の直角三角形で、長さ 1313 の辺に接する傍接円の半径は?
    答えと解説を見るs=15s=15、S=30S=30。3015−13=15\dfrac{30}{15-13}=15。(直角三角形なので斜辺側は ss に等しい)
  2. 大学受験 1辺が 22 の正三角形の傍接円の半径は?
    答えと解説を見るs=3s=3、S=3S=\sqrt3。ra=33−2=3r_a=\dfrac{\sqrt3}{3-2}=\sqrt3。(stan⁡30∘=3⋅13=3s\tan30^\circ=3\cdot\dfrac{1}{\sqrt3}=\sqrt3 でも同じ)
  3. 大学受験 3つの傍接円の半径が 4, 6, 124,\ 6,\ 12 の三角形について、内接円の半径 rr と面積 SS を求めなさい。
    答えと解説を見る1r=14+16+112=12\dfrac1r=\dfrac14+\dfrac16+\dfrac1{12}=\dfrac12 より r=2r=2。S2=2⋅4⋅6⋅12=576S^2=2\cdot4\cdot6\cdot12=576 より S=24S=24。(3辺は 6, 8, 106,\ 8,\ 10)

関連する公式

よくある質問

傍接円とは何ですか?

三角形の1つの角の内側にあり、向かい合う辺と、残り2辺の延長の3本の直線に接する円です。1つの三角形に3つあり、中心を傍心といいます。

傍接円の半径の公式は?

辺 a に接する傍接円の半径は r_a=S/(s−a) です。S は三角形の面積、s は周の長さの半分です。

傍接円の半径の公式はどう証明しますか?

傍心と3頂点を結び、△ABC=△JAB+△JCA−△JBC と面積を表します。3つの三角形の高さはどれも r_a なので S=(s−a)r_a となります。

傍接円の公式は入試で使ってよいですか?

教科書の公式ではないので、記述式では面積による短い証明を書いてから使うのが安全です。

あわせて読みたい

出典・参考

  • 文部科学省「高等学校学習指導要領(平成30年告示)」数学A(図形の性質)
  • 高校の範囲外の発展内容(初等幾何)

最終更新:2026年10月11日/作成:大学受験合格大作戦