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大学受験
ひとことで言うと
上一段活用は、語尾がイ段だけで「み・み・みる・みる・みれ・みよ」と変わる動詞の活用です。古文では干る・射る・着る・似る・見る・居るなどの約10語(覚え方「ひいきにみゐる」)とその複合語だけなので、暗記して見分けます。
このページのポイント
- 活用はi・i・iる・iる・iれ・iよ(見る:み・み・みる・みる・みれ・みよ)
- 所属語は「ひいきにみゐる」の約10語+複合語(顧みる・試みる・用ゐる・率ゐる)
- 「ず」では上二段と区別できない。終止形が「〜iる」かで見分ける
- 難所は行(射る・鋳る=ヤ行、居る・率る=ワ行)と見る・見ゆ・見すの識別
はじめて(やさしく)
上一段活用(かみいちだんかつよう)は、古文の動詞の9種類の活用のひとつです。代表は「見る」。「見ず」「見て」「見る」「見るとき」「見れども」「見よ」のように、どの形にも「み」の音が残ります。活用の種類の全体は、動詞の活用の種類と見分け方のページにまとめています。
「み」は五十音図のイ段の音です。五十音図のまん中のウ段から見て、1つ上の段(イ段)だけを使うので「上一段」と呼びます。
うかるくん
「見る」って現代語と同じ形だね。古文でも変わらないの?
合格先生
そう、上一段は現代語とほとんど同じ形なんだ。だからやさしい……と思いきや、語の数がとても少ないのがポイントだよ。
サクラちゃん
少ないの? 現代語の「起きる」「落ちる」も同じ形なのに?
合格先生
いいところに気づいたね。それらは古文では上二段(起く・落つ)なんだ。古文の上一段は「ひいきにみゐる」の約10語だけ。だから暗記するのがいちばんの近道だよ。
上一段の主な動詞は、「ひいきにみゐる」という覚え方で覚えます。干る(ひる)・射る(いる)・着る(きる)・似る/煮る(にる)・見る(みる)・居る/率る(ゐる)の頭の音を並べて、最後に「る」をつけたものです。
上一段かどうかを「ず」で調べようとすると、うまくいきません。「見ず」の「み」も「起きず」の「き」もイ段なので、上一段と上二段の区別がつかないからです。見分けるときは言い切りの形(終止形)を見ます。「見る」のように「〜iる」で終われば上一段、「起く」のようにウ段で終われば上二段です。

サクラちゃん
「ひ・い・き・に・み・ゐ・る」! ひいきに見ている、と覚えれば、すぐ言える!
ここまでのまとめ
- 上一段は、語尾がイ段だけ(み・み・みる・みる・みれ・みよ)
- 所属する語は少ないので「ひいきにみゐる」で暗記
- 「ず」では上二段と区別できない。終止形が「〜iる」なら上一段
覚えにくいところは、受験掲示板「100点BBS」の古典文法のお勉強で質問できます。
しっかり(大学受験の基礎〜標準)
上一段活用の活用表
上一段活用の語尾は「i・i・iる・iる・iれ・iよ」です。1音の語(見る・着る など)は語幹と語尾の区別がないので、語幹の欄は( )で示します。
| 種類 | 例 | 語幹 | 未然形 | 連用形 | 終止形 | 連体形 | 已然形 | 命令形 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| マ行上一段 | 見る | (見) | み | み | みる | みる | みれ | みよ |
| カ行上一段 | 着る | (着) | き | き | きる | きる | きれ | きよ |
| ナ行上一段 | 似る | (似) | に | に | にる | にる | にれ | によ |
| ハ行上一段 | 干る | (干) | ひ | ひ | ひる | ひる | ひれ | ひよ |
| ヤ行上一段 | 射る | (射) | い | い | いる | いる | いれ | いよ |
| ワ行上一段 | 居る | (居) | ゐ | ゐ | ゐる | ゐる | ゐれ | ゐよ |
| マ行上一段 | 顧みる | 顧 | み | み | みる | みる | みれ | みよ |
表は横にスクロールできます。「顧みる(かへりみる)」のような複合語には「顧」という語幹があります。活用形の使い方は活用形(未然形〜命令形)のページへ。
上一段活用の動詞一覧
| 行 | 動詞(読み) | 主な意味 | 注意 |
|---|---|---|---|
| カ行 | 着る(きる) | 身につける | 「着す(きす)」はサ行下二段で「着せる」 |
| ナ行 | 似る(にる)・煮る(にる) | 似ている/煮る | 同じ音。漢字と文脈で区別 |
| ハ行 | 干る(ひる)・嚔る(ひる) | 乾く/くしゃみをする | 「まだ干ぬ」=まだ乾かない |
| マ行 | 見る・顧みる・試みる・後ろ見る(うしろみる) | 見る・会う・世話をする/ふり返る/ためす/世話をする | 複合語もマ行上一段 |
| ヤ行 | 射る(いる)・鋳る(いる) | 矢を射る/金属を溶かして型に流す | ア行ではなくヤ行 |
| ワ行 | 居る(ゐる)・率る(ゐる)・用ゐる(もちゐる)・率ゐる(ひきゐる) | すわる・じっとしている/連れる/使う/引き連れる | 「ゐ」と書く。「用いる」は後の時代の書き方 |
基本の語(干る・嚔る・射る・鋳る・着る・似る・煮る・見る・居る・率る)は約10語です。これに「顧みる・試みる・用ゐる・率ゐる」などの複合語が加わります。数え方は本によって少し違いますが、「ひいきにみゐる+複合語」を押さえれば入試には十分です。
上一段活用の見分け方(手順)
- 言い切りの形(終止形)にする。「見れ」→「見る」、「ゐたり」→「ゐる」。
- 終止形が「〜iる」(イ段+る)で、「ひいきにみゐる」か、その複合語なら上一段。
- 終止形がウ段で終わる(起く・過ぐ・恥づ)なら上二段。→上二段活用へ。
- 最後に何行かを確かめる。「い」はヤ行、「ゐ」はワ行。
例文で確かめる
月見れば千々に物こそ悲しけれわが身ひとつの秋にはあらねど
(百人一首23番・大江千里(月見れば))
現代語訳月を見ると、あれこれと物事が悲しく思われる。私ひとりだけのためにやって来た秋ではないのだけれど。
大江千里のこの歌は、中国の詩人・白居易(白楽天)の詩をもとにしたとも言われます。秋の月を見て、自分ひとりのためでもない秋に、なぜかひとりで悲しみを背負っているように感じる……という気持ちを、「千々(ちぢ)」と「ひとつ」の対比で表しています。百人一首にはほかにも「田子の浦にうち出でて見れば」(4番)、「天の原ふりさけ見れば」(7番)、「わたの原漕ぎ出でて見れば」(76番)と、「見れば」が何度も出てきます。月をよんだ古典の話は、読みもの「中秋の名月」にもまとめています。

村雨の露もまだ干ぬ槇の葉に霧立ちのぼる秋の夕暮れ
(百人一首87番・寂蓮法師(藤原定長)「村雨の」)
現代語訳にわか雨の露もまだ乾かない槇の葉に、霧が立ちのぼっていく秋の夕暮れよ。
それを見れば、三寸ばかりなる人、いとうつくしうてゐたり。
(竹取物語・冒頭)
現代語訳それを見ると、三寸ほどの人が、とてもかわいらしい様子ですわっていた。
ひとり灯火のもとに文をひろげて、見ぬ世の人を友とするぞ、こよなう慰むわざなる。
(徒然草・第十三段)
現代語訳ひとりで灯火のもとで書物を広げて、会ったこともない昔の人を友とするのは、このうえなく心がなぐさむことである。
上一段の動詞につく助動詞
上一段は四段・ナ変・ラ変ではないので、受身などの「る・らる」は「らる」、使役の「す・さす」は「さす」がつきます(見らる・見さす)。「見る」の「る」は語尾の一部で、受身の「る」ではありません。この接続のきまりは、読みもの「古文の助動詞一覧」でもまとめています。
| 下につく語 | 上一段「見る」の形 | 意味 |
|---|---|---|
| ず(打消) | 見ず | 見ない |
| む(推量・意志) | 見む | 見よう・見るだろう |
| らる(受身・尊敬など) | 見らる | 見られる |
| さす(使役・尊敬) | 見さす | 見させる |
| き(過去)・けり | 見き・見けり | 見た |
| べし(推量など) | 見るべし | 見るはずだ・見るべきだ |
未然形の「む」については助動詞「む(ん)」のページ、「こそ」で已然形になるしくみは係り結びのページで説明しています。
もっと深く(難関大・上級者)
1. 「見る」「見ゆ」「見す」の識別
同じ「見」の字でも、活用の種類がちがう3つの別の動詞があります。活用の形から動詞を決め、そこから意味を決めるのが上級者の読み方です。
中の柱に寄りゐて、脇息の上に経を置きて、いとなやましげに読みゐたる尼君、ただ人と見えず。
(源氏物語・若紫)
現代語訳中の柱に寄りかかってすわって、脇息の上に経を置いて、とても苦しそうに読んでいる尼君は、ふつうの身分の人とは見えない。

「見ゆ」「聞こゆ」「覚ゆ」の「ゆ」は、奈良時代の受身・自発の助動詞「ゆ」がついてできたと説明されます。だから「見ゆ」は「(自然に)見える・人に見られる」の意味になります。さらに「見ゆ」には「姿を見せる・(女性が男性と)結婚する」の意味もあり、上一段の「見る」にも「会う・結婚する・世話をする」の意味があります。古文単語として覚えておくと、読解で差がつきます(読みもの「古文単語の覚え方」)。
2. 「いる」「ゐる」の識別(歴史的仮名遣いがカギ)
現代では同じ「いる」でも、古文では書き方と活用の種類がちがいます。歴史的仮名遣いで「い」か「ゐ」かを見ると、動詞がしぼれます。
| 書き方 | 動詞 | 活用の種類 | 見分けのめやす |
|---|---|---|---|
| いる | 射る・鋳る | ヤ行上一段 | 「矢を」「鐘を」など。未然形「い」(射ず) |
| いる | 入る | ラ行四段(入る)/ラ行下二段(入れる) | 未然形が「いら」(入らず)か「いれ」(入れず) |
| ゐる | 居る・率る | ワ行上一段 | 「ゐ」と書く。すわる・とどまる/連れる |
| をり | 居り | ラ行変格活用 | 終止形が「り」。「居」の字は同じでも別の語 |
「居」という字は、「ゐる」(上一段)とも「をり」(ラ変)とも読みます。「ゐたり」なら上一段の連用形、「をり」「をる」ならラ変です。ラ変の4語は変格活用のページでくわしく扱います。
3. 現代語の上一段は、古文では上二段が多い
上二段・下二段の動詞の多くは、中世から近世にかけて「起く→起きる」「受く→受ける」のように一段の形に変わりました(二段活用の一段化)。連体形(起くる・受くる)で文を終える言い方が広がったことと関係がある、と説明されます。そのため、現代語の「起きる・落ちる・過ぎる・恥じる・恨みる」の感覚で古文を読むと、上二段を上一段とまちがえます。古文の上一段は、もともと「ひいきにみゐる」の仲間だけ、と考えてください。
ただし、上一段の語にも時代による変化があったとする説明があります。たとえば「干る」は、奈良時代には上二段(終止形「ふ」)だったとする説明もあり、平安時代の文章で上一段の形になっていると考えられています。また「用ゐる」は、のちにハ行上二段「用ふ」・ヤ行上二段「用ゆ」の形も使われたとされます。入試では「平安時代の文章では上一段」と答えれば十分です。
4. 上一段には音便がない
四段・ナ変・ラ変の連用形は「書いて」「死んで」のように音便になることがありますが、上一段の連用形「み・き・に・ゐ」は音便になりません。「見て」「着て」はそのままの形です。
うかるくん
「見え」も「見せ」も「見」の字なのに、上一段じゃないの!?
合格先生
そう、漢字ではなく活用の形で決めるんだ。「え」が出たら見ゆ、「せ」が出たら見す、「み」のままなら見る。形→種類→意味の順に考えると、識別問題はこわくないよ。

合格先生
上一段は約10語+複合語だけ。「射る・鋳る=ヤ行」「居る・率る=ワ行」と、「見る・見ゆ・見す」の区別。この3つが入試の難所だよ。
よくあるまちがい
まちがい1:「見ず」の「み」がイ段だから上二段にする
「ず」をつけて見分ける方法は、上一段には使えません。上一段は先に暗記。終止形が「見る」(〜iる)なら上一段です。
まちがい2:「起きる」「落ちる」を古文でも上一段にする
古文では「起く」「落つ」の上二段。上一段は「ひいきにみゐる」の仲間と複合語だけです。
まちがい3:「射る」「居る」の行をまちがえる
「射る・鋳る」はヤ行、「居る・率る・用ゐる」はワ行。ア行の動詞は「得(う)」の仲間だけです。
まちがい4:「見え」「見せ」を上一段「見る」にする
「見え」はヤ行下二段「見ゆ」、「見せ」はサ行下二段「見す」。上一段「見る」の語尾は「み」から変わりません。
練習問題
やさしい
- 上一段活用の主な動詞の覚え方「ひいきにみゐる」の、それぞれの音にあたる動詞を答えなさい。
答えと解説を見る
ひ=干る(嚔る)、い=射る(鋳る)、き=着る、に=似る(煮る)、み=見る、ゐ=居る(率る)。最後の「る」は語尾です。
- 「見る」の活用を、未然形から命令形まで順に答えなさい。
答えと解説を見る
み・み・みる・みる・みれ・みよ。どの形にもイ段の「み」が残ります。
ふつう
- 「村雨の露もまだ干ぬ槇の葉に」(百人一首87番)の「干」の、動詞の終止形・活用の種類(行も)・活用形を答えなさい。
答えと解説を見る
終止形は干る(ひる)、ハ行上一段活用、未然形。下の「ぬ」は打消「ず」の連体形で、未然形につきます。「まだ乾かない」と訳します。
- 次の傍線部の動詞から、上一段活用のものをすべて選びなさい。
ア 月を見れば イ 鳥の見えず ウ 衣を着て エ 朝に起きて オ 柱に寄りゐて(自作)答えと解説を見る
ア・ウ・オ。アは「見る」の已然形、ウは「着る」の連用形、オは「居る」の連用形。イはヤ行下二段「見ゆ」、エはカ行上二段「起く」です。
むずかしい
- 「人に見えじと思ひて、几帳のうちにゐたり。」(自作)の「見え」と「ゐ」について、それぞれ動詞の終止形・活用の種類(行も)・活用形を答え、「見え」の意味を説明しなさい。
答えと解説を見る
「見え」は見ゆ・ヤ行下二段・未然形(下の「じ」は未然形につく打消推量・打消意志)。ここでは「人に姿を見られる・見せる」の意味で、「人に見られまいと思って」。「ゐ」は居る・ワ行上一段・連用形(下の「たり」は連用形につく)。「几帳の内側にすわっていた」と訳します。
- 現代語の「試みる」と「恨みる」は、どちらも上一段動詞です。古文ではそれぞれ何活用か答え、そうなる理由を説明しなさい。
答えと解説を見る
「試みる」は古文でもマ行上一段(「見る」の仲間の複合語)。「恨みる」は古文ではマ行上二段「恨む」(恨みず・恨む・恨むる)。上二段の多くは中世以降に一段化して現代語の上一段になったので、現代語の形だけでは古文の活用の種類は決められません。
関連ページ
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読みもの(合格大作戦の記事)
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接続・意味・活用をまとめて見る地図 - 古文単語の覚え方
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よくある質問
上一段活用の動詞は何語ありますか?
基本は干る・嚔る・射る・鋳る・着る・似る・煮る・見る・居る・率るの約10語です。これに顧みる・試みる・用ゐる・率ゐるなどの複合語が加わります。
上一段活用の覚え方は?
「ひいきにみゐる」と覚えます。干る・射る・着る・似る(煮る)・見る・居る(率る)の頭の音に、語尾の「る」をつけたものです。
上一段活用と上二段活用の違いは?
どちらも「ず」をつけるとイ段になりますが、終止形が違います。上一段は「見る」のように「〜iる」、上二段は「起く」のようにウ段で終わります。上二段は連体形が「起くる」になります。
「射る」「居る」は何行ですか?
「射る・鋳る」はヤ行上一段、「居る・率る・用ゐる」はワ行上一段です。「居る」は歴史的仮名遣いで「ゐる」と書きます。
「見え」は上一段活用ですか?
いいえ。「見え」はヤ行下二段「見ゆ」の未然形か連用形です。上一段「見る」の語尾は「み」のまま変わりません。
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出典・参考
- 文部科学省「高等学校学習指導要領(平成30年告示)」国語(言語文化・古典探究)
- 例文の本文:百人一首(23・87番、ほか4・7・30・60・76・90・92番に言及)、竹取物語(冒頭)、徒然草(第十三段)、源氏物語(若紫)。表記は読みやすいように一部改めています
- 高校の古典文法の標準的な説明(上一段活用の所属語・行・二段活用の一段化)にもとづいて作成。「干る」「用ゐる」の古い形は諸説あり
- 画像:百人一首の絵札「Hyakuninisshu 023」(パブリックドメイン、Wikimedia Commons)、「Wakamurasaki by Unknown Japanese artist.jpg」(1620年ごろ、作者不明、パブリックドメイン、Wikimedia Commons)
最終更新:2026年10月21日/作成:大学受験合格大作戦



