
竹取物語の書き出し「今は昔、竹取の翁といふものありけり」から、かぐや姫が名づけられるまで(第1章「なよ竹のかぐや姫」)を、全文・現代語訳・文法でいっしょに読みます。
解説:ミスターT先生(京都大学文学部出身の古文の先生。合格大作戦のキャラクターの合格先生に古典を叩き込んだ師匠)
この章を30秒で(あらすじと要点)
- あらすじ:竹取の翁が根もとの光る竹の中に約9センチの女の子を見つけ、家で育てる。翁は黄金の入った竹を何度も見つけてお金持ちになり、女の子は三か月で大人になる。「なよ竹のかぐや姫」と名づけられ、三日間の祝いが開かれる。
- 文法の要点:係り結び(なむ…ける/ぞ…ける)、なめり(断定なり+推定めり)、過去のけり、完了のぬ・つ、存続のたり、使役のす・さす。
- テストの定番:「うつくし」=かわいらしい、「ゐる」=座る、「三か月で大人」=かぐや姫が人間でない伏線。



この章で覚える文法(テストに出る順)
- 係り結び:なむ…ける/ぞ…ける
- なめり=断定「なり」+推定「めり」
- 過去のけり、完了のぬ・つ、存続のたり
- 使役のす・さす(養はす・つけさす)
- 古今異義語うつくし=かわいらしい
竹取物語とは?(作者・成立・あらすじ)
『竹取物語』は平安時代のはじめ(9世紀後半〜10世紀前半ごろ)にできた物語で、作者はわかっていません。『源氏物語』の中で「物語の出で来はじめの祖」(物語の始まりの祖先)と呼ばれ、現存する日本最古の物語とされます。竹から生まれたかぐや姫が、5人の貴公子と帝の求婚を断り、最後は月の世界へ帰っていくお話です。
本文と現代語訳・文法(1文ずつ)
色の見方:過去 完了・存続 推量・推定・意志 使役・受身・尊敬 断定 打消 敬語 係りの語 結びの語(色の語にふれると説明が出ます)
1
今は昔、竹取の翁といふものありけり。
現代語訳今ではもう昔のことだが、竹取の翁という者がいたそうだ。
- 「けり」は人から聞いた昔話の過去(伝聞過去)。「〜たそうだ」「〜た」と訳す。くわしくは過去の助動詞「き・けり」の違い。
- 「今は昔」は物語の決まった書き出し。『今昔物語集』も同じ始まり方。
2
野山にまじりて竹を取りつつ、よろづのことに使ひけり。名をば、さぬきの造となむいひける。
現代語訳野や山に分け入って竹を取っては、いろいろなことに使っていた。名前を、さぬきの造といった。
- 係り結び:「なむ」があるので、文の終わりは終止形「けり」ではなく連体形「ける」。→係り結びの決まり(ぞ・なむ・や・か・こそ)
- 「つつ」は「〜しては」とくり返しを表す接続助詞。「よろづ」は「いろいろ・すべて」。


3
その竹の中に、もと光る竹なむ一筋ありける。あやしがりて寄りて見るに、筒の中光りたり。それを見れば、三寸ばかりなる人、いとうつくしうてゐたり。
現代語訳その竹の中に、根もとの光る竹が一本あった。不思議に思って近寄って見ると、筒の中が光っている。それを見ると、三寸(約9センチ)ほどの人が、とてもかわいらしい様子で座っている。
- 「たり」は存続(〜ている)。光りたり=光っている、ゐたり=座っている。→完了・存続の助動詞「たり・り」
- 「うつくし」は今の「美しい」ではなく「かわいらしい」。テストの定番。→古今異義語(うつくし・あはれ・をかし)
- 「うつくしう」は「うつくしく」のウ音便。→古文の音便(イ音便・ウ音便)
- 「ゐる」は「座る」。今の「いる」とはちがう。


出典:英語の昔話集『The Japanese Fairy Book』(1908年、Kakuzō Fujiyama 画、Wikimedia Commons)
4
翁言ふやう、「我、朝ごと夕ごとに見る竹の中におはするにて、知りぬ。子となりたまふべき人なめり。」とて、手にうち入れて家へ持ちて来ぬ。
現代語訳翁が言うことには、「わたしが毎朝毎晩見ている竹の中にいらっしゃるので、わかった。(わたしの)子におなりになるはずの人であるようだ。」と言って、手の中に入れて家へ持って帰ってきた。
- 「なめり」は「なるめり」→「なんめり」→「な(ん)めり」。断定「なり」+推定「めり」で「〜であるようだ」。入試で必ず聞かれる形。→推定の助動詞「めり」となめり
- 「おはす」「たまふ」は尊敬語。翁が小さな子に敬語を使っている=ただの子ではないと感じている。→古文の敬語の種類
- 「知りぬ」「来ぬ」の「ぬ」は完了(〜た)。打消の「ぬ」とまちがえない。→「ぬ」の識別(完了と打消)


5
妻の嫗に預けて養はす。うつくしきことかぎりなし。いと幼ければ、籠に入れて養ふ。
現代語訳妻のおばあさんに預けて育てさせる。かわいらしいことこの上ない。とても小さいので、籠に入れて育てる。
- 「養はす」の「す」は使役(〜させる)。翁が嫗に育てさせる。→使役・尊敬の助動詞「す・さす・しむ」
- 「幼ければ」は已然形+ばなので「幼いので」(理由)。→接続助詞「ば」の未然形+ばと已然形+ば


出典:『竹取物語』絵巻 上巻(江戸時代前期の写本、国立国会図書館デジタルコレクション)
6
竹取の翁、竹を取るに、この子を見つけて後に竹取るに、節を隔ててよごとに金ある竹を見つくること重なりぬ。かくて翁やうやう豊かになりゆく。
現代語訳竹取の翁が竹を取ると、この子を見つけてから後に竹を取ると、節と節の間の空洞ごとに黄金が入っている竹を見つけることが重なった。こうして翁はだんだんお金持ちになっていく。
- 「よ」は竹の節と節の間(空洞)。「やうやう」は「だんだん」。歴史的仮名遣いで「ようよう」と読む。
- 読み方の決まりは歴史的仮名遣いのルール一覧。
7
この児、養ふほどに、すくすくと大きになりまさる。三月ばかりになるほどに、よきほどなる人になりぬれば、髪上げなどさうして、髪上げさせ、裳着す。帳の内よりも出ださず、いつき養ふ。
現代語訳この子は、育てるうちに、すくすくと大きくなっていく。三か月ほどたつころに、一人前の大きさの人になったので、髪上げの儀式などあれこれ手配して、髪を結い上げさせ、裳を着せる(成人の儀式をする)。几帳の中からも外に出さず、大切に育てる。
- 三か月で大人に=ふつうの人ではないことを示す、物語の大事な合図。
- 「髪上げ」「裳着」は女の子の成人式。→古文常識の一覧(通い婚・物忌みなど)
- 「なりぬれば」は完了「ぬ」の已然形+ば=「なったので」。


8
この児のかたちけうらなること世になく、屋の内は暗き所なく光満ちたり。翁、心地悪しく苦しき時も、この子を見れば苦しきこともやみぬ。腹立たしきことも慰みけり。
現代語訳この子の顔立ちの美しいことは世に比べるものがなく、家の中は暗い所がなく光が満ちている。翁は、気分が悪く苦しい時も、この子を見ると苦しさもおさまってしまう。腹立たしいことも気が晴れた。
- 「けうらなり」は「清らなり」で、この上なく美しいこと。
- 「見れば」も已然形+ば。ここは「見ると(いつも)」の意味(恒常条件)。
9
翁、竹を取ること久しくなりぬ。勢ひ猛の者になりにけり。
現代語訳翁は、(黄金の入った)竹を取ることが長く続いた。(そして)勢いの盛んな大金持ちになった。
- 「なりにけり」の「に」は完了「ぬ」の連用形。「にけり」「にき」「にたり」の形で出る。→「に」の識別7種類


10
この子いと大きになりぬれば、名を、三室戸斎部のあきたを呼びてつけさす。あきた、なよ竹のかぐや姫とつけつ。このほど三日、うちあげ遊ぶ。よろづの遊びをぞしける。男はうけきらはず呼び集へて、いとかしこく遊ぶ。
現代語訳この子がたいそう大きくなったので、名前を、三室戸斎部のあきたを呼んでつけさせる。あきたは「なよ竹のかぐや姫」と名づけた。このとき三日間、盛大に宴会をする。あらゆる遊びをした。男たちを分けへだてなく呼び集めて、たいへん盛大に宴会をする。
- 「ぞ」→結びは連体形「ける」。係り結びのもう1つの例。
- 「つけつ」は完了「つ」。→完了の助動詞「つ・ぬ」の違い
- 「なよ竹」は細くしなやかな竹。名前に「竹」と「光(かぐや)」が入っている。
係り結びを図で確かめる

重要な古語(単語帳)
| 古語 | 読み | 意味 |
|---|---|---|
| 翁 | おきな | おじいさん |
| 嫗 | おうな | おばあさん |
| よろづ | よろず | いろいろ・すべて |
| あやしがる | あやしがる | 不思議に思う |
| うつくし | うつくし | かわいらしい |
| ゐる | いる | 座る |
| おはす | おわす | いらっしゃる(尊敬語) |
| やうやう | ようよう | だんだん |
| けうらなり | きょうらなり | この上なく美しい |
| いつく | いつく | 大切に世話をする |
| かしこし | かしこし | はなはだしい・盛大だ |
テストに出る問題(答えは押すと開く)
問1 「竹取の翁といふものありけり」の「けり」の意味は?
過去(伝聞過去)。「〜たそうだ」「〜た」と訳す。
問2 「さぬきの造となむいひける」の「ける」が連体形なのはなぜ?
上に係助詞「なむ」があるから(係り結び)。
問3 「いとうつくしうてゐたり」を現代語訳しなさい。
「とてもかわいらしい様子で座っている。」「うつくし」=かわいらしい、「ゐる」=座る、「たり」=存続。
問4 「子となりたまふべき人なめり」の「なめり」を文法的に説明しなさい。
断定の助動詞「なり」の連体形「なる」が撥音便「なん」になり、「ん」が書かれない形「な」+推定の助動詞「めり」。訳は「〜であるようだ」。
問5 「妻の嫗に預けて養はす」の「す」の意味は?
使役(〜させる)。翁が嫗に養わせる。
問6 「勢ひ猛の者になりにけり」の「に」は何?
完了の助動詞「ぬ」の連用形。
問7 かぐや姫が三か月ほどで大人になったことは、物語の中で何を表している?
かぐや姫がふつうの人間ではない(月の世界の人である)ことを表す、後の展開への伏線。

竹取物語「なよ竹のかぐや姫」原文(全文・通し)
1文ずつ区切らずに、原文を通して読みたい人・音読したい人のための全文です。
今は昔、竹取の翁といふものありけり。
野山にまじりて竹を取りつつ、よろづのことに使ひけり。名をば、さぬきの造となむいひける。
その竹の中に、もと光る竹なむ一筋ありける。あやしがりて寄りて見るに、筒の中光りたり。それを見れば、三寸ばかりなる人、いとうつくしうてゐたり。
翁言ふやう、「我、朝ごと夕ごとに見る竹の中におはするにて、知りぬ。子となりたまふべき人なめり。」とて、手にうち入れて家へ持ちて来ぬ。
妻の嫗に預けて養はす。うつくしきことかぎりなし。いと幼ければ、籠に入れて養ふ。
竹取の翁、竹を取るに、この子を見つけて後に竹取るに、節を隔ててよごとに金ある竹を見つくること重なりぬ。かくて翁やうやう豊かになりゆく。
この児、養ふほどに、すくすくと大きになりまさる。三月ばかりになるほどに、よきほどなる人になりぬれば、髪上げなどさうして、髪上げさせ、裳着す。帳の内よりも出ださず、いつき養ふ。
この児のかたちけうらなること世になく、屋の内は暗き所なく光満ちたり。翁、心地悪しく苦しき時も、この子を見れば苦しきこともやみぬ。腹立たしきことも慰みけり。
翁、竹を取ること久しくなりぬ。勢ひ猛の者になりにけり。
この子いと大きになりぬれば、名を、三室戸斎部のあきたを呼びてつけさす。あきた、なよ竹のかぐや姫とつけつ。このほど三日、うちあげ遊ぶ。よろづの遊びをぞしける。男はうけきらはず呼び集へて、いとかしこく遊ぶ。
竹取物語「なよ竹のかぐや姫」現代語訳(全文・通し)
今ではもう昔のことだが、竹取の翁という者がいたそうだ。
野や山に分け入って竹を取っては、いろいろなことに使っていた。名前を、さぬきの造といった。
その竹の中に、根もとの光る竹が一本あった。不思議に思って近寄って見ると、筒の中が光っている。それを見ると、三寸(約9センチ)ほどの人が、とてもかわいらしい様子で座っている。
翁が言うことには、「わたしが毎朝毎晩見ている竹の中にいらっしゃるので、わかった。(わたしの)子におなりになるはずの人であるようだ。」と言って、手の中に入れて家へ持って帰ってきた。
妻のおばあさんに預けて育てさせる。かわいらしいことこの上ない。とても小さいので、籠に入れて育てる。
竹取の翁が竹を取ると、この子を見つけてから後に竹を取ると、節と節の間の空洞ごとに黄金が入っている竹を見つけることが重なった。こうして翁はだんだんお金持ちになっていく。
この子は、育てるうちに、すくすくと大きくなっていく。三か月ほどたつころに、一人前の大きさの人になったので、髪上げの儀式などあれこれ手配して、髪を結い上げさせ、裳を着せる(成人の儀式をする)。几帳の中からも外に出さず、大切に育てる。
この子の顔立ちの美しいことは世に比べるものがなく、家の中は暗い所がなく光が満ちている。翁は、気分が悪く苦しい時も、この子を見ると苦しさもおさまってしまう。腹立たしいことも気が晴れた。
翁は、(黄金の入った)竹を取ることが長く続いた。(そして)勢いの盛んな大金持ちになった。
この子がたいそう大きくなったので、名前を、三室戸斎部のあきたを呼んでつけさせる。あきたは「なよ竹のかぐや姫」と名づけた。このとき三日間、盛大に宴会をする。あらゆる遊びをした。男たちを分けへだてなく呼び集めて、たいへん盛大に宴会をする。
竹取物語「なよ竹のかぐや姫」原文と現代語訳の印刷用ページ(A4・左右に並べて)
よくある質問(竹取物語の基本)
竹取物語の作者は誰?
作者はわかっていません(未詳)。漢文や仏教の知識がある男性の知識人と考えられています。
竹取物語はいつの作品?
平安時代のはじめ、9世紀後半〜10世紀前半ごろに成立したとされます。
竹取物語の冒頭(書き出し)は?
「今は昔、竹取の翁といふものありけり。」です。現代語訳は「今ではもう昔のことだが、竹取の翁という者がいたそうだ。」です。
なぜ日本最古の物語と言われるの?
『源氏物語』の絵合の巻で「物語の出で来はじめの祖」(物語が生まれた最初の祖先)と呼ばれているからです。
竹取物語 全文の目次
- なよ竹のかぐや姫(かぐや姫の生い立ち)(このページ)
- 竹取物語「貴公子たちの求婚」の原文・現代語訳
- 竹取物語「仏の御石の鉢」の原文・現代語訳
- 竹取物語「蓬莱の玉の枝」の原文・現代語訳
- 竹取物語「火鼠の皮衣」の原文・現代語訳
- 竹取物語「竜の首の玉」の原文・現代語訳
- 竹取物語「燕の子安貝」の原文・現代語訳
- 竹取物語「帝の求婚」の原文・現代語訳
- 竹取物語「かぐや姫の昇天」の原文・現代語訳
- 竹取物語「ふじの山」の原文・現代語訳

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本文は『竹取物語』(國民文庫本、明治末刊)をもとに、教科書で広く読まれる形に合わせ、新字体・現代の送り仮名に直しました。現代語訳・解説・問題・図は合格大作戦のオリジナルです。挿絵は、国立国会図書館デジタルコレクションの『竹取物語』絵巻(江戸時代前期)など、著作権の切れた古い絵です(それぞれの絵の下に出典)。文法の用語は合格大作戦の古文文法辞典に合わせています。


