この公式のポイント
- ポアソン分布は二項分布で np=λ を一定にした極限
- ポアソン分布は平均=分散=λ
- 指数分布は待ち時間の分布で平均 λ1
- 指数分布は無記憶性をもつ

うかるくん
ポアソン分布って、二項分布とどうつながっているの?
![合格先生]()
合格先生
平均 np=λ を一定にして n→∞ にした極限だ。(1−nλ)n が e−λ になるのがカギだぞ。
ポアソン分布・指数分布の公式
「一定時間に起こる回数」はポアソン分布、「次に起こるまでの待ち時間」は指数分布で表します。どちらも、まれな出来事がでたらめに起こるようすのモデルで、2つは表と裏の関係です。
ポアソン分布 Po(λ)(λ>0)
P(X=k)=e−λk!λk(k=0,1,2,⋯),E[X]=λ,V[X]=λ
指数分布 Ex(λ)(λ>0)
f(x)=λe−λx(x≥0),P(X>t)=e−λt,E[X]=λ1,V[X]=λ21無記憶性:P(X>s+t∣X>s)=P(X>t)
関係:単位時間あたり平均 λ 回でたらめに起こる出来事では、時間 t の間の回数は Po(λt)、最初に起こるまでの時間は Ex(λ) にしたがう。
ポアソン分布 Po(2) と二項分布 B(20, 0.1):ほとんど同じ形
なぜこの式になるのか(証明)
① ポアソン分布は二項分布の極限
二項分布 B(n, p) で、平均 np=λ を一定にしたまま n→∞(p=nλ→0)とします。k を固定すると
nCkpk(1−p)n−k=k!λk⋅nkn(n−1)⋯(n−k+1)⋅(1−nλ)n⋅(1−nλ)−k
n→∞ で、2つ目の因子は 1⋅(1−n1)⋯→1、3つ目は e−λ(e の定義から)、4つ目は 1。よって e−λk!λk に近づきます。図1の B(20, 0.1) でも、すでにかなり近い値です。
② 平均と分散
k=0∑∞k!λk=eλ(マクローリン展開)を使います。
E[X]=k=1∑∞ke−λk!λk=λe−λk=1∑∞(k−1)!λk−1=λe−λeλ=λ
同じように E[X(X−1)]=λ2e−λk=2∑∞(k−2)!λk−2=λ2。よって V[X]=E[X(X−1)]+E[X]−(E[X])2=λ2+λ−λ2=λ。
③ 指数分布:待ち時間を数える
最初の出来事までの時間を T とすると、「T>t」は「時間 t の間に1回も起こらない」ことなので、P(T>t)=P(Po(λt)=0)=e−λt。分布関数 1−e−λt を微分して密度 λe−λt が出ます。
平均は部分積分で E[T]=∫0∞tλe−λtdt=[−te−λt]0∞+∫0∞e−λtdt=λ1。同様に E[T2]=λ22 なので V[T]=λ22−λ21=λ21。
④ 無記憶性
P(X>s+t∣X>s)=P(X>s)P(X>s+t)=e−λse−λ(s+t)=e−λt=P(X>t)
指数分布(λ=1/2):x>2 の条件のもとで x>4 となる確率は、最初から x>2 となる確率と同じ
大学院入試では
大学院入試例題1(ポアソン分布の確率)
ある窓口には1時間に平均3件の問い合わせがあり、件数はポアソン分布にしたがうとする。ある1時間の件数が0件である確率と、2件以上である確率を求めなさい。
解き方
X∼Po(3)。P(X=0)=e−3≒0.0498。
P(X≥2)=1−P(X=0)−P(X=1)=1−e−3−3e−3=1−4e−3≒0.801。
答え P(X=0)=e−3≒0.050、P(X≥2)=1−4e−3≒0.801
大学院入試例題2(指数分布と無記憶性)
ある部品の寿命
X(時間)は平均1000時間の指数分布にしたがう。(1) 2000時間をこえて動く確率を求めなさい。(2) すでに500時間動いた部品が、さらに1000時間以上動く確率を求めなさい。
解き方
平均 λ1=1000 より λ=10001。
(1) P(X>2000)=e−2≒0.135。
(2) 無記憶性より P(X>1500∣X>500)=P(X>1000)=e−1≒0.368。すでに動いた500時間は関係ない。
答え (1) e−2≒0.135 (2) e−1≒0.368
大学院入試例題3(ポアソン分布の再生性)
X∼Po(λ)、
Y∼Po(μ) が独立のとき、
X+Y∼Po(λ+μ) を示しなさい。
解き方
P(X+Y=n)=k=0∑nP(X=k)P(Y=n−k)=k=0∑ne−λk!λke−μ(n−k)!μn−k。
=n!e−(λ+μ)k=0∑nk!(n−k)!n!λkμn−k=n!e−(λ+μ)(λ+μ)n(二項定理)。
答え P(X+Y=n)=e−(λ+μ)n!(λ+μ)n なので X+Y∼Po(λ+μ)
学部の授業とのつながり・院試での注意
- どの授業で習うか:「確率論」「確率統計」で代表的な分布として学びます。待ち行列(窓口の混み具合)や信頼性工学(部品の寿命)、通信のパケットの到着などのモデルとして、情報・工学系の院試でよく出ます。
- 答案で示すべきこと:①どの分布にしたがうか(パラメータ λ の値と単位)②使う公式。λ が「1時間あたり」か「1分あたり」か、単位をそろえるのがポイントです。
- よくある出題の形:二項分布からの極限の導出/平均・分散の導出/再生性(例題3)/無記憶性/積率母関数 E[etX] の計算(ポアソン分布は eλ(et−1)、指数分布は λ−tλ (t<λ))/最尤推定。
- 近似の目安:n が大きく p が小さい二項分布は Po(np) で近似できます(練習問題3)。
よくある間違い
![腕でバツを作る合格先生]()
合格先生
指数分布の平均は λ ではなく λ1 だ。平均1000時間なら λ=10001 だぞ。
- 指数分布の λ を平均と取り違える:λe−λx の平均は λ1。「平均1000時間」なら λ=10001 です。
- P(X≥2) で P(X=1) を引き忘れる:余事象は「0件または1件」です。
- 無記憶性をほかの分布にも使う:連続型で無記憶性をもつのは指数分布だけです。正規分布や一様分布の寿命では成り立ちません。
練習問題
![「ここが大事!」と説明する合格先生]()
合格先生
λ の単位をそろえてから計算しよう。
- 大学院入試 X∼Po(λ) で P(X=1)=P(X=2) のとき、λ と P(X=0) を求めなさい。
答えと解説を見る
e−λλ=e−λ2λ2 より λ=2(λ>0)。P(X=0)=e−2≒0.135 - 大学院入試 指数分布 Ex(λ) の中央値 m(P(X>m)=21 となる値)を求めなさい。
答えと解説を見る
e−λm=21 より m=λlog2≒λ0.693(平均 λ1 より小さい) - 大学院入試 不良品の確率が 0.002 の製品を1000個調べるとき、不良品が1個以下である確率をポアソン分布で近似して求めなさい。
答えと解説を見る
λ=1000×0.002=2。P(X≤1)≒e−2(1+2)=3e−2≒0.406(二項分布で正確に計算しても 0.406)
関連する公式
よくある質問
ポアソン分布とは?
まれな出来事が一定時間に起こる回数の分布で、P(X=k)=e^(−λ)λ^k/k! です。平均も分散もλになります。
ポアソン分布と二項分布の関係は?
二項分布B(n,p)で、平均np=λを一定にしたままnを大きくし、pを小さくした極限がポアソン分布です。nが大きくpが小さいときの近似に使えます。
指数分布の平均と分散は?
密度λe^(−λx)の指数分布の平均は1/λ、分散は1/λ²です。部分積分で求められます。
指数分布の無記憶性とは?
すでにs時間たったという条件のもとで、さらにt時間以上かかる確率が、最初からt時間以上かかる確率と同じになる性質です。P(X>s+t|X>s)=P(X>t)。
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出典・参考
最終更新:2026年10月11日/作成:大学受験合格大作戦