- 歌
- さびしさに 宿を立ち出でて ながむれば いづこも同じ 秋の夕暮れ
- 意味
- あまりの寂しさに、(住まいの)庵を出て、あたりをぼんやりと見わたしてみると、どこも同じように寂しい、秋の夕暮れであることよ。
- 作者
- 良暹法師(りょうぜんほうし)
- 出典
- 『後拾遺和歌集』秋上・333番
- 決まり字
- 「さ」(1字決まり)

さびしさに 宿を立ち出でて ながむれば
いづこも同じ 秋の夕暮れ
読みさびしさに やどをたちいでて ながむれば
いずこもおなじ あきのゆうぐれ
歴史的仮名遣いさびしさに やどをたちいでて ながむれば
いづくもおなじ あきのゆふぐれ
あまりの寂しさに庵を出て、あたりを見わたしてみると、どこも同じように寂しい秋の夕暮れだった——一字決まり「さ」の、良暹法師の歌です。
現代語訳(意味)
語句の意味
| 語句 | 読み | 意味・ポイント |
|---|---|---|
| さびしさに | さびしさに | 寂しさのために。 |
| 宿 | やど | 住まい。ここでは作者の庵です。 |
| 立ち出でて | たちいでて | 出て。 |
| ながむれば | ながむれば | 「ぼんやりと見わたすと」。「ながむ」はもの思いにふけりながら見ることです。 |
| いづこも同じ | いずこもおなじ | どこも同じ。 |
| 秋の夕暮れ | あきのゆうぐれ | 秋の夕方。寂しさの象徴として好んで詠まれました。 |
品詞分解
歌を単語に分けて、品詞と意味を示しています。色の付いた行が入試で特に問われる部分です。
| 単語 | 品詞・活用 | 意味・用法 |
|---|---|---|
| さびしさ | 名詞 | |
| に | 格助詞 | 原因 |
| 宿 | 名詞 | |
| を | 格助詞 | |
| 立ち出で | 動詞・ダ行下二段「立ち出づ」連用形 | |
| て | 接続助詞 | |
| ながむれ | 動詞・マ行下二段「ながむ」已然形 | |
| ば | 接続助詞 | 確定条件 |
| いづこ | 代名詞 | |
| も | 係助詞 | |
| 同じ | 形容詞・シク活用「同じ」連体形 | |
| 秋 | 名詞 | |
| の | 格助詞 | |
| 夕暮れ | 名詞 | 体言止め |
表現技法・文法のポイント
「秋の夕暮れ」で終わり、寂しさの余韻を残しています。
「ながむれば」は「見わたすと」という確定条件です。
のちの『新古今和歌集』では、「秋の夕暮れ」で終わる「三夕(さんせき)の歌」が名歌として知られます。この歌はその先がけといえます。
歌の背景・鑑賞
『後拾遺和歌集』秋上に入っています。寂しさに耐えかねて外に出てみたけれど、どこも同じように寂しかった――秋の夕暮れの寂しさが、どこまでも広がっていくように感じられる歌です。
諸説・伝説――想像をふくらませてみよう
昔のことなので、はっきりしないことも多くあります。ここでは、言い伝えやいろいろな説を紹介します。
良暹は、船遊びをしていた貴族たちの連歌の会で見事な句を詠んだのに、貴族たちは続きの句を付けられなかった――という話が『俊頼髄脳』に残っています。この話は、令和5年度の大学入学共通テストの国語で出題されました。百人一首の歌人の話が、実際の入試に出ているのです。
良暹は晩年、京都の大原に住んだといわれます。山に囲まれた大原の里で、秋の夕暮れに庵を出てみたら、どこも寂しかった――この歌の景色を、大原の風景に重ねて想像してみましょう。
作者:良暹法師
平安時代中期の僧侶・歌人、良暹法師(りょうぜんほうし)です。出身や経歴はよくわかっていませんが、比叡山の僧で、のちに京都の大原に住んだといわれます。歌合などで活躍しました。
決まり字と覚え方
上の句が「さ」まで読まれたら、取り札が決まります。「さ」で始まる歌は1首あります。
覚え方:「さ」と聞いたら「いづこもおなじ」。一字決まり「むすめふさほせ」の「さ」です。寂しさ(さ)はどこも同じ、と覚えます。
入試で問われるポイント
- 一字決まり「さ」
- 「ながむ」の意味
- 体言止め
- 三夕の歌との関係(文学史)
よくある質問
「ながむれば」とはどういう意味ですか?
「もの思いにふけりながら、ぼんやりと見わたすと」という意味です。
一字決まりはどれですか?
70番は「さ」の一字決まりです。「むすめふさほせ」の「さ」にあたります。
良暹法師は入試に出ますか?
良暹の逸話は、令和5年度の大学入学共通テスト(国語)で出題されました。
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大学受験合格大作戦 最終更新:2026-10-04
