- 歌
- 山里は 冬ぞ寂しさ まさりける 人目も草も かれぬと思へば
- 意味
- 山里は、いつも寂しいけれど、冬はとりわけ寂しさがまさることだ。人の訪れも途絶え、草も枯れてしまうと思うと。
- 作者
- 源宗于朝臣(みなもとのむねゆきあそん)
- 出典
- 『古今和歌集』冬・315番
- 決まり字
- 「やまざ」(3字決まり)

山里は 冬ぞ寂しさ まさりける
人目も草も かれぬと思へば
読みやまざとは ふゆぞさびしさ まさりける
ひとめもくさも かれぬとおもえば
歴史的仮名遣いやまざとは ふゆぞさびしさ まさりける
ひとめもくさも かれぬとおもへば
山里は冬になると寂しさがいっそうまさる。人の訪れも途絶え、草も枯れてしまうと思うと——掛詞「かれ」が効いた源宗于の冬の歌です。
現代語訳(意味)
語句の意味
| 語句 | 読み | 意味・ポイント |
|---|---|---|
| 山里 | やまざと | 山の中の村。都から離れた、もともと寂しい場所です。 |
| 冬ぞ寂しさまさりける | ふゆぞさびしさまさりける | 「冬こそ寂しさがまさるのだ」。「ぞ」を受けて「ける」が連体形で結んでいます。 |
| 人目 | ひとめ | 人の出入り、人の訪れ。 |
| かれぬ | かれぬ | 人目が「離(か)れぬ(途絶えてしまう)」と、草が「枯れぬ」の掛詞です。 |
品詞分解
歌を単語に分けて、品詞と意味を示しています。色の付いた行が入試で特に問われる部分です。
| 単語 | 品詞・活用 | 意味・用法 |
|---|---|---|
| 山里 | 名詞 | |
| は | 係助詞 | |
| 冬 | 名詞 | |
| ぞ | 係助詞 | 強意 |
| 寂しさ | 名詞 | |
| まさり | 動詞・ラ行四段「まさる」連用形 | |
| ける | 助動詞「けり」連体形 | 詠嘆(係り結び) |
| 人目 | 名詞 | |
| も | 係助詞 | |
| 草 | 名詞 | |
| も | 係助詞 | |
| かれ | 動詞・ラ行下二段「離る/枯る」連用形 | 掛詞 |
| ぬ | 助動詞「ぬ」終止形 | 完了 |
| と | 格助詞 | |
| 思へ | 動詞・ハ行四段「思ふ」已然形 | |
| ば | 接続助詞 | 確定条件 |
表現技法・文法のポイント
「かれ」に「離れ(人が来なくなる)」と「枯れ(草が枯れる)」を掛けています。
「ぞ」を受けて「ける」が連体形になっています。
下の句で理由を後から述べる倒置の形です。
歌の背景・鑑賞
『古今和歌集』冬の部に入っています。「山里はいつも寂しいが、冬は特に」という言い方の裏には、「他の季節も寂しい」という気持ちが隠れています。人も草も「かれる」という一語で、冬の山里の静けさを表した名歌です。
諸説・伝説――想像をふくらませてみよう
昔のことなので、はっきりしないことも多くあります。ここでは、言い伝えやいろいろな説を紹介します。
宗于は天皇の孫でありながら、思うように出世できなかったと伝えられます。『大和物語』には、宇多天皇に昇進がかなわないことを歌でうったえたが、意味をわかってもらえなかったという話も残っています。冬の山里の寂しさは、宗于自身の心の寂しさだったのかもしれません。
宗于は、23番の大江千里や22番の文屋康秀と同じく、是貞親王の家の歌合に参加した歌人です。同じ場で歌を競った仲間だったのかもしれません。
作者:源宗于朝臣
平安時代前期から中期の貴族・歌人、源宗于(みなもとのむねゆき)です。光孝天皇(15番)の孫で、臣下となって源氏を名のりました。是貞親王の家の歌合などに参加し、紀貫之や伊勢(19番)とも歌をやりとりしています。三十六歌仙の一人です。
決まり字と覚え方
上の句が「やまざ」まで読まれたら、取り札が決まります。「や」で始まる歌は4首あります。
覚え方:「やまざ」と聞いたら「ひとめもくさも」。山里(やまざと)は人目(ひとめ)も草(くさ)もない、と覚えます。「やま」で始まる歌は32番「やまがは」もあるので、3字目の「ざ」まで聞きます。
入試で問われるポイント
- 掛詞(離れ/枯れ)
- 係り結び(ぞ→ける)
- 已然形+ば(確定条件)
よくある質問
この歌の掛詞はどこですか?
「かれ」です。人目が「離れ(途絶える)」と、草が「枯れ」を掛けています。
なぜ冬の山里は寂しいのですか?
冬は人の訪れが途絶え、草も枯れてしまうからです。
源宗于はどんな人ですか?
光孝天皇の孫で、平安時代の歌人です。三十六歌仙の一人です。
あわせて読みたい
- 15番「君がため」(光孝天皇・春)
- 32番「山川に」(春道列樹・秋)
- 23番「月見れば」(大江千里・秋)
- 47番「八重むぐら」(恵慶法師・秋)
大学受験合格大作戦 最終更新:2026-10-04
