この公式のポイント
- 候補は停留点 fx=fy=0
- D=fxxfyy−(fxy)2 の符号で判定
- D<0 は鞍点(極値でない)
- D=0 は定義にもどって調べる

うかるくん
D=0 になったら、極値はないって答えていいの?
![合格先生]()
合格先生
だめだ。D=0 は判定できないという意味だ。x2+y4 は極小、x2+y3 は極値なし。定義にもどって調べよう。
2変数関数の極値の判定(ヘッセ行列)
2変数関数 f(x,y) の極値の候補は、fx=fy=0 となる点(停留点)です。その点が極大か極小か、どちらでもない(鞍点)かは、2階の偏導関数を並べたヘッセ行列で判定します。
極値の判定(f は C2 級)
fx(a,b)=fy(a,b)=0 とし、ヘッセ行列とその行列式(判別式)を
H=(fxxfxyfxyfyy),D=fxxfyy−(fxy)2(すべて点 (a,b) での値)とすると
- D>0 かつ fxx>0 ⇒ 極小
- D>0 かつ fxx<0 ⇒ 極大
- D<0 ⇒ 極値でない(鞍点)
- D=0 ⇒ この方法では判定できない
3変数以上では、H が正定値(固有値がすべて正)なら極小、負定値なら極大、正と負の固有値があれば極値でない。
停留点のまわりの等高線。極小・極大では閉じた曲線、鞍点では双曲線になる
証明:2次のテイラー展開と平方完成
① 直線にそって1変数に直す
(h,k)=(0,0) を決めて g(t)=f(a+th, b+tk) とおきます。連鎖律を2回使うと
g′(t)=hfx+kfy,g′′(t)=h2fxx+2hkfxy+k2fyy
(右辺は点 (a+th,b+tk) での値)。1変数のテイラーの定理(n=1)より、0<θ<1 があって
f(a+h,b+k)−f(a,b)=g(1)−g(0)=g′(0)+21g′′(θ)=21Q(h,k)
ここで g′(0)=hfx(a,b)+kfy(a,b)=0(停留点)、Q(h,k)=h2A+2hkB+k2C(A,B,C は点 (a+θh,b+θk) での fxx,fxy,fyy)です。
② 平方完成で符号を決める
A=0 のとき
Q=A(h+ABk)2+AAC−B2k2
点 (a,b) で D>0、fxx>0 なら、2階偏導関数の連続性から、(a,b) の十分近くでも AC−B2>0、A>0 です。すると (h,k)=(0,0) で Q>0(2つの項は0以上で、同時に0になるのは h=k=0 だけ)なので f(a+h,b+k)>f(a,b)、つまり極小です。fxx<0 なら同様に Q<0 で極大です。
D<0 のときは、点 (a,b) での2次式 h2fxx+2hkfxy+k2fyy が正の値も負の値もとるので(判別式が正)、g′′(0)>0 となる向きでは (a,b) が直線上の極小、g′′(0)<0 となる向きでは極大になります。よって極値ではありません(鞍点)。
なお D>0 のとき fxxfyy>(fxy)2≥0 なので fxx と fyy は同符号で、fxx=0 です。
例題1の f=x3+y3−3xy の等高線。f=0(赤)は原点で交わり鞍点、(1,1) で極小 −1
大学院入試では
停留点をもれなく求め、1つずつ D で判定する問題が定番です。D=0 になる点の扱い、3変数のヘッセ行列もよく出ます。
大学院入試例題1(停留点を求めて判定する)
f(x,y)=x3+y3−3xy の極値を求めなさい。
解き方
fx=3x2−3y=0、fy=3y2−3x=0 より y=x2、x=y2。よって x=x4、x(x−1)(x2+x+1)=0 で、実数解は x=0, 1。停留点は (0,0), (1,1)。
fxx=6x、fyy=6y、fxy=−3。
(0,0):D=0⋅0−9=−9<0 で極値でない。
(1,1):D=36−9=27>0、fxx=6>0 で極小。f(1,1)=1+1−3=−1。
答え (1,1) で極小値 −1((0,0) は鞍点で極値でない)
大学院入試例題2(D=0 のとき)
f(x,y)=x2+y4 と
g(x,y)=x2+y3 は、どちらも原点が停留点で
D=0 となる。それぞれ原点で極値をとるか調べなさい。
解き方
どちらも原点で fxx=2、fxy=0、fyy=0 なので D=0 で、判定法は使えない。定義にもどる。
f:(x,y)=(0,0) なら x2+y4>0=f(0,0) なので、原点で極小(値 0)。
g:y 軸の上では g(0,y)=y3 で、y>0 なら正、y<0 なら負。原点のどんな近くにも g>0 と g<0 の点があるので極値でない。
答え f は原点で極小値 0、g は原点で極値をとらない
大学院入試例題3(3変数:ヘッセ行列の正定値)
f(x,y,z)=x2+y2+z2+xy+yz+zx−2x の極値を求めなさい。
解き方
fx=2x+y+z−2=0、fy=x+2y+z=0、fz=x+y+2z=0。後の2式を引いて y=z、すると x=−3y。第1式に入れて −4y=2、y=z=−21、x=23。
ヘッセ行列は H=211121112(定数)。左上からの小行列式は 2, 3, 4 ですべて正なので H は正定値(固有値は 1,1,4)。よって極小。
f(23,−21,−21)=49+41+41−43+41−43−3=−23。
答え (23,−21,−21) で極小値 −23
学部の授業とのつながり・院試での注意
- どの授業で習うか:大学初年級の微分積分の「多変数関数の極値」で学びます。3変数以上の判定には、線形代数の対称行列と2次形式(正定値)が必要です。
- 答案で示すべきこと:①停留点をすべて求める(連立方程式の解を落とさない)、②各点で D と fxx を計算、③D=0 の点は定義にもどって調べる、の3段です。
- 極値と最大・最小は別:極小値が最小値とは限りません。例題1の f は x→−∞(y=0)で −∞ になるので最小値はありません。
- よくある出題の形:多項式・指数関数を含む関数の極値、D=0 の点の判定、3変数の極値、条件付き極値(ラグランジュの未定乗数法)との組み合わせなどです。
よくある間違い
![腕でバツを作る合格先生]()
合格先生
fxx>0 だけで極小と決めるな。D<0 なら鞍点だ。先に D の符号を見よう。
- D=0 で「極値なし」と決める:例題2のように、極値のこともないこともあります。D=0 は「この方法では判定できない」です。
- fxx だけで極大・極小を決める:D<0 なら、fxx>0 でも鞍点です。先に D の符号を見ます。
- 停留点を落とす:x=x4 を x3=1 と割ってしまうと x=0 が消えます。因数分解して解きます。
練習問題
![「ここが大事!」と説明する合格先生]()
- 大学院入試 f(x,y)=x2+xy+y2−3x の極値を求めなさい。
答えと解説を見る
fx=2x+y−3=0、fy=x+2y=0 より (x,y)=(2,−1)。fxx=2, fyy=2, fxy=1 で D=3>0、fxx>0。答え (2,−1) で極小値 f(2,−1)=4−2+1−6=−3 - 大学院入試 f(x,y)=xy(1−x−y) の停留点をすべて求め、それぞれ判定しなさい。
答えと解説を見る
fx=y(1−2x−y)、fy=x(1−x−2y)。停留点は (0,0), (1,0), (0,1), (31,31)。fxx=−2y, fyy=−2x, fxy=1−2x−2y。(0,0),(1,0),(0,1) ではどれも D=−1<0 で鞍点。(31,31) では D=94−91=31>0、fxx=−32<0。答え (31,31) で極大値 271、ほかの3点は極値でない - 大学院入試 f(x,y)=x4+y4−4xy の極値を求めなさい。
答えと解説を見る
fx=4x3−4y=0、fy=4y3−4x=0 より y=x3、x=x9。実数解 x=0,±1 で停留点 (0,0),(1,1),(−1,−1)。fxx=12x2, fyy=12y2, fxy=−4。(0,0) は D=−16<0 で鞍点。(±1,±1) は D=144−16=128>0、fxx=12>0。答え (1,1), (−1,−1) で極小値 −2
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よくある質問
2変数関数の極値はどう求めますか?
f_x=f_y=0 となる停留点を求め、各点で D=f_xx f_yy−(f_xy)² を計算します。D>0 で f_xx>0 なら極小、f_xx<0 なら極大、D<0 なら極値ではありません。
D=0 のときはどうしますか?
この判定法では決まりません。点の近くでの関数の値を直接調べます。x²+y⁴ は原点で極小ですが、x²+y³ は極値をとりません。
鞍点とは?
停留点だが極値でない点で、ある向きには極小、別の向きには極大になっている点です。等高線は双曲線のような形になります。
3変数のときはどう判定しますか?
ヘッセ行列が正定値(左上からの小行列式がすべて正、または固有値がすべて正)なら極小、負定値なら極大、正と負の固有値があれば極値ではありません。
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出典・参考
最終更新:2026年10月11日/作成:大学受験合格大作戦