ラグランジュの未定乗数法の公式|∇f=λ∇gの意味と証明・条件付き最大最小の例題【大学院入試・微分積分】

ラグランジュの未定乗数法の公式|∇f=λ∇gの意味と証明・条件付き最大最小の例題【大学院入試・微分積分】

合格大作戦 算数・数学公式辞典 › 関数

大学院入試

∇f=λ∇g,g(x,y)=0(L=f−λg, Lx=Ly=Lλ=0)\nabla f=\lambda\nabla g,\quad g(x,y)=0\qquad(L=f-\lambda g,\ L_x=L_y=L_\lambda=0)

極値の点で ∇g≠0\nabla g\neq\boldsymbol 0 のときに成り立つ必要条件

この公式のポイント

  • 極値の点では∇f\nabla f と ∇g\nabla g が平行
  • 等高線が条件の曲線に接する
  • 必要条件:最大・最小は値の比較で決める
  • ∇g=0\nabla g=\boldsymbol 0 の点は別に調べる
うかるくん

うかるくん

どうして極値の点で ∇f\nabla f と ∇g\nabla g が平行になるの?

合格先生

合格先生

曲線にそって動くと、極値の点では ff の変化が0だ。だから ∇f\nabla f も ∇g\nabla g も接線に垂直になるんだ。

ラグランジュの未定乗数法

条件 g(x,y)=0g(x,y)=0 のもとで f(x,y)f(x,y) の最大・最小(極値)を求めるとき、条件から文字を消さずに解ける方法です。極値をとる点では、ff の勾配と gg の勾配が平行になります。

ラグランジュの未定乗数法

f,gf,g は C1C^1 級とする。条件 g(x,y)=0g(x,y)=0 のもとで f(x,y)f(x,y) が点 (a,b)(a,b) で極値をとり、そこで ∇g=(gx,gy)≠(0,0)\nabla g=(g_x,g_y)\neq(0,0) ならば、ある実数 λ\lambda があって

{fx(a,b)=λgx(a,b)fy(a,b)=λgy(a,b)g(a,b)=0\begin{cases}f_x(a,b)=\lambda g_x(a,b)\\f_y(a,b)=\lambda g_y(a,b)\\g(a,b)=0\end{cases}

L(x,y,λ)=f(x,y)−λg(x,y)L(x,y,\lambda)=f(x,y)-\lambda g(x,y) とおくと、これは Lx=Ly=Lλ=0L_x=L_y=L_\lambda=0 と同じ。変数が nn 個でも同じ形(∇f=λ∇g\nabla f=\lambda\nabla g)。条件が2つなら ∇f=λ∇g1+μ∇g2\nabla f=\lambda\nabla g_1+\mu\nabla g_2。

xy(1, 1)(−1, −1)∇f∇gx+y=2x+y=−2f=x+yg=x²+y²−2=0(1,1) で接する∇f=(1/2)∇g→ 最大値 2(−1,−1) で接する→ 最小値 −2
条件 x2+y2=2x^2+y^2=2 のもとでの x+yx+y の最大・最小。等高線 x+y=cx+y=c が円に接する点で ∇f∥∇g\nabla f\parallel\nabla g

注意:この定理は「極値をとる点なら連立方程式をみたす」という必要条件です。解の中にどれが最大・最小かは、別に判断します(条件の曲線が有界閉集合なら最大・最小が存在し、候補の値を比べればよい)。

証明:曲線にそって微分する

点 (a,b)(a,b) で ∇g≠(0,0)\nabla g\neq(0,0) なので、陰関数定理により、(a,b)(a,b) の近くで曲線 g=0g=0 は C1C^1 級の曲線 (x(t),y(t))(x(t),y(t))((x(0),y(0))=(a,b)(x(0),y(0))=(a,b)、(x′(0),y′(0))≠(0,0)(x'(0),y'(0))\neq(0,0))で表せます(陰関数定理そのものの証明は略)。

① 2つの勾配はどちらも接線に垂直

g(x(t),y(t))=0g(x(t),y(t))=0 を tt で微分すると、連鎖律より

gx x′(0)+gy y′(0)=0すなわち∇g⊥(x′(0),y′(0))g_x\,x'(0)+g_y\,y'(0)=0\quad\text{すなわち}\quad\nabla g\perp(x'(0),y'(0))

また、h(t)=f(x(t),y(t))h(t)=f(x(t),y(t)) は t=0t=0 で極値をとるので h′(0)=0h'(0)=0。

fx x′(0)+fy y′(0)=0すなわち∇f⊥(x′(0),y′(0))f_x\,x'(0)+f_y\,y'(0)=0\quad\text{すなわち}\quad\nabla f\perp(x'(0),y'(0))

② 平面では、同じ0でないベクトルに垂直な2つのベクトルは平行

接ベクトル (x′(0),y′(0))≠0(x'(0),y'(0))\neq\boldsymbol 0 に垂直なベクトルは、すべて1つの向き(法線方向)の実数倍です。∇g≠0\nabla g\neq\boldsymbol 0 はその向きなので、∇f=λ∇g\nabla f=\lambda\nabla g となる λ\lambda があります。

図2のように、もし ∇f\nabla f に接線方向の成分があれば、曲線にそってその向きに動くと ff が増え、逆向きに動くと減るので、極値になりません。

QP(1,1)∇f∇f接線方向法線方向Q:∇f に接線方向の成分→ 円にそって f が増える→ 極値でないP:接線方向の成分が 0∇f∥∇g
点 QQ では ∇f\nabla f に接線方向の成分があり、曲線にそって ff が増える。極値の点 PP では接線方向の成分が 00

大学院入試では

「条件付きの最大・最小を求めよ」という形で出ます。連立方程式を解く力と、最大・最小が存在する理由・∇g=0\nabla g=\boldsymbol 0 の点の扱いが差になります。

大学院入試

例題1(円の上での最大・最小)

x2+y2=2x^2+y^2=2 のとき、x+yx+y の最大値と最小値を求めなさい。

解き方

f=x+yf=x+y、g=x2+y2−2g=x^2+y^2-2。∇g=(2x,2y)\nabla g=(2x,2y) は円の上で 0\boldsymbol 0 にならない。

1=2λx1=2\lambda x、1=2λy1=2\lambda y より λ≠0\lambda\neq0 で x=yx=y。2x2=22x^2=2 より (x,y)=(1,1), (−1,−1)(x,y)=(1,1),\ (-1,-1)。

円は有界閉集合で ff は連続なので、最大値・最小値は存在し、候補の中にある。f(1,1)=2f(1,1)=2、f(−1,−1)=−2f(-1,-1)=-2。

答え 最大値 22((1,1)(1,1))、最小値 −2-2((−1,−1)(-1,-1))

大学院入試

例題2(3変数:平面上で原点に最も近い点)

x+2y+3z=14x+2y+3z=14 のとき、x2+y2+z2x^2+y^2+z^2 の最小値と、そのときの (x,y,z)(x,y,z) を求めなさい。

解き方

2x=λ2x=\lambda、2y=2λ2y=2\lambda、2z=3λ2z=3\lambda より (x,y,z)=(λ2,λ,3λ2)(x,y,z)=\left(\dfrac{\lambda}{2},\lambda,\dfrac{3\lambda}{2}\right)。条件に入れて λ2+2λ+9λ2=7λ=14\dfrac{\lambda}{2}+2\lambda+\dfrac{9\lambda}{2}=7\lambda=14、λ=2\lambda=2。候補は (1,2,3)(1,2,3) だけ。

平面の上で ∣(x,y,z)∣→∞|(x,y,z)|\to\infty なら f→∞f\to\infty なので、最小値は存在し(原点の近くの有界閉集合で考えればよい)、それは候補 (1,2,3)(1,2,3) でとる。f=1+4+9=14f=1+4+9=14。

(確かめ:原点と平面の距離は 1414=14\dfrac{14}{\sqrt{14}}=\sqrt{14} で、その2乗 1414 と一致。)

答え 最小値 1414((x,y,z)=(1,2,3)(x,y,z)=(1,2,3))

大学院入試

例題3(∇g=0 の点で失敗する例)

条件 y2=x3y^2=x^3 のもとで f=xf=x の最小値を求めなさい。また、ラグランジュの方法だけでは最小の点が見つからないことを確かめなさい。

解き方

条件から x3=y2≥0x^3=y^2\ge0 なので x≥0x\ge0。(0,0)(0,0) は条件をみたすので、最小値は 00。

g=y2−x3g=y^2-x^3 とすると ∇g=(−3x2,2y)\nabla g=(-3x^2,2y)。∇f=(1,0)=λ(−3x2,2y)\nabla f=(1,0)=\lambda(-3x^2,2y) とすると、λ≠0\lambda\neq0 なので y=0y=0、条件から x=0x=0、すると 1=λ⋅01=\lambda\cdot0 となり解がない。

最小の点 (0,0)(0,0) では ∇g=(0,0)\nabla g=(0,0) で、定理の前提がみたされていない。答案では「∇g=0\nabla g=\boldsymbol 0 となる点」も別に調べる。

答え 最小値 00((0,0)(0,0) でとる。この点は ∇g=0\nabla g=\boldsymbol 0 なので、乗数法の式からは出てこない)

学部の授業とのつながり・院試での注意

  • どの授業で習うか:大学初年級の微分積分の「陰関数定理と条件付き極値」で学びます。経済学の効用最大化、物理・工学の最適化、統計の最尤推定などでも使います。
  • 答案で示すべきこと:①∇g≠0\nabla g\neq\boldsymbol 0 の確認(または ∇g=0\nabla g=\boldsymbol 0 の点を別に調べる)、②連立方程式のすべての解、③最大・最小が存在する理由(有界閉集合、または遠くで ff が大きくなる)、④候補の値の比較、の4つです。
  • 2次形式との関係:x2+y2=1x^2+y^2=1 のもとで2次形式 xTAx\boldsymbol x^{\mathsf T}A\boldsymbol x の最大・最小を求めると Ax=λxA\boldsymbol x=\lambda\boldsymbol x となり、乗数 λ\lambda は固有値になります。
  • よくある出題の形:円・楕円・球面の上での最大・最小、表面積一定で体積最大の直方体、平面や曲線と点の距離などです。

よくある間違い

腕でバツを作る合格先生

合格先生

∇g=0\nabla g=\boldsymbol 0 の点を見落とすな。最小の点が乗数法の式から出てこないことがあるぞ。

  • 連立方程式の解を全部「極値」と書く:乗数法は必要条件です。解は候補にすぎず、最大・最小かどうかは値の比較や存在の議論で決めます。
  • ∇g=0\nabla g=\boldsymbol 0 の点を見落とす:例題3のように、最小の点が乗数法の式から出てこないことがあります。
  • λ\lambda で割るときに λ=0\lambda=0 の場合を忘れる:λ=0\lambda=0 なら ∇f=0\nabla f=\boldsymbol 0 です。その場合も条件と合わせて調べます。

練習問題

○の札を持つうかるくん

うかるくん

最大・最小が存在する理由も書けば完ぺき!

  1. 大学院入試 x2+y2=1x^2+y^2=1 のとき、xyxy の最大値と最小値を求めなさい。
    答えと解説を見るy=2λxy=2\lambda x、x=2λyx=2\lambda y。これらから x2=y2x^2=y^2(x=y=0x=y=0 は条件に反する)。x2=y2=12x^2=y^2=\dfrac12。円は有界閉集合なので最大・最小は存在する。答え 最大値 12\dfrac12(x=y=±12x=y=\pm\dfrac{1}{\sqrt2})、最小値 −12-\dfrac12(x=−y=±12x=-y=\pm\dfrac{1}{\sqrt2})
  2. 大学院入試 x2+y2+z2=1x^2+y^2+z^2=1 のとき、x+2y+2zx+2y+2z の最大値を求めなさい。
    答えと解説を見る1=2λx1=2\lambda x、2=2λy2=2\lambda y、2=2λz2=2\lambda z より (x,y,z)=12λ(1,2,2)(x,y,z)=\dfrac{1}{2\lambda}(1,2,2)。条件から 94λ2=1\dfrac{9}{4\lambda^2}=1、λ=±32\lambda=\pm\dfrac32。λ=32\lambda=\dfrac32 で (x,y,z)=(13,23,23)(x,y,z)=\left(\dfrac13,\dfrac23,\dfrac23\right)、値 1+4+43=3\dfrac{1+4+4}{3}=3。答え 最大値 33(最小値は −3-3)
  3. 大学院入試 xy=1xy=1 のとき、x2+y2x^2+y^2 の最小値を求めなさい。
    答えと解説を見る2x=λy2x=\lambda y、2y=λx2y=\lambda x より x2=y2x^2=y^2(xy=1xy=1 から x,y≠0x,y\neq0)。xy=1>0xy=1>0 なので x=y=±1x=y=\pm1、値 22。∣x∣→∞|x|\to\infty または ∣x∣→0|x|\to0 で x2+y2→∞x^2+y^2\to\infty なので最小値は存在する。答え 最小値 22((1,1), (−1,−1)(1,1),\ (-1,-1))

関連する公式

よくある質問

ラグランジュの未定乗数法とは?

条件g=0のもとでfの極値を求める方法で、極値の点では∇f=λ∇gとなる実数λがあることを使います。L=f−λgを各変数とλで偏微分して0とおくのと同じです。

なぜ勾配が平行になるのですか?

条件の曲線にそって動くとき、極値の点ではfの変化率が0なので、∇fは曲線の接線に垂直です。∇gも接線に垂直なので、平面では2つは平行になります。

求めた点は必ず最大・最小ですか?

いいえ。乗数法は必要条件なので、解は候補です。最大・最小が存在することを示してから、候補の値を比べて決めます。

うまくいかないのはどんなときですか?

∇g=0となる点では定理の前提が成り立たず、その点が最大・最小でも連立方程式から出てきません。そうした点は別に調べます。

あわせて読みたい

出典・参考

  • 大学初年級の微分積分学

最終更新:2026年10月11日/作成:大学受験合格大作戦