オイラー関数 φ(n) の公式とオイラーの定理|包除原理による証明・a^φ(n)≡1 の証明・下2けたの例題【大学数学・東大京大レベル】

オイラー関数 φ(n) の公式とオイラーの定理|包除原理による証明・a^φ(n)≡1 の証明・下2けたの例題【大学数学・東大京大レベル】

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大学受験

aφ(n)≡1(modn)a^{\varphi(n)}\equiv1\pmod n

aa と nn が互いに素。φ(n)=n(1−1p1)⋯(1−1pr)\varphi(n)=n\left(1-\dfrac1{p_1}\right)\cdots\left(1-\dfrac1{p_r}\right)

この公式のポイント

  • φ(n)\varphi(n) はnn と互いに素な数の個数
  • φ(n)=n∏(1−1p)\varphi(n)=n\prod\left(1-\dfrac1p\right)(包除原理)
  • aa と nn が互いに素ならaφ(n)≡1a^{\varphi(n)}\equiv1
  • nn が素数のときがフェルマーの小定理
うかるくん

うかるくん

φ(n)\varphi(n) の公式で、どうして (1−1p)\left(1-\dfrac1p\right) をかけるの?

合格先生

合格先生

pp の倍数を取りのぞく包除原理を、展開した形で書くとちょうどその積になるんだ。

オイラー関数とオイラーの定理

正の整数 nn に対して、11 から nn までの整数のうち nn と互いに素なもの(最大公約数が1のもの)の個数を φ(n)\varphi(n) と書き、オイラー関数(オイラーのファイ関数)といいます。φ(1)=1\varphi(1)=1 とします。

オイラー関数の公式とオイラーの定理

n=p1e1p2e2⋯prern=p_1^{e_1}p_2^{e_2}\cdots p_r^{e_r}(pip_i は異なる素数)のとき

φ(n)=n(1−1p1)(1−1p2)⋯(1−1pr)\varphi(n)=n\left(1-\frac{1}{p_1}\right)\left(1-\frac{1}{p_2}\right)\cdots\left(1-\frac{1}{p_r}\right)

とくに φ(p)=p−1\varphi(p)=p-1、φ(pe)=pe−pe−1\varphi(p^e)=p^e-p^{e-1}。

オイラーの定理:aa と nn が互いに素なら

aφ(n)≡1(modn)a^{\varphi(n)}\equiv1\pmod n
30=2×3×5。2・3・5 のどれでもわり切れない数は? 赤:30 と互いに素(最大公約数が1) 灰:2・3・5 のどれかの倍数 123456789101112131415161718192021222324252627282930 赤は 1, 7, 11, 13, 17, 19, 23, 29 の8個 φ(30)=30×(1−1/2)×(1−1/3)×(1−1/5)=8
1〜30 のうち 30 と互いに素な数は8個。φ(30)=8\varphi(30)=8

n=pn=p(素数)のときは φ(p)=p−1\varphi(p)=p-1 なので、オイラーの定理はフェルマーの小定理 ap−1≡1(modp)a^{p-1}\equiv1\pmod p になります。オイラーの定理は、フェルマーの小定理を素数でない nn に広げたものです。

証明

φ(n) の公式(包除原理)

11 から nn までのうち、nn と互いに素でない数は、nn の素因数 p1,⋯ ,prp_1,\cdots,p_r のどれかでわり切れる数です。11 から nn までに pip_i の倍数は npi\dfrac{n}{p_i} 個、pipjp_ip_j の倍数は npipj\dfrac{n}{p_ip_j} 個、…あります。包除原理より、どれでもわり切れない数の個数は

φ(n)=n−∑inpi+∑i<jnpipj−∑i<j<knpipjpk+⋯\varphi(n)=n-\sum_{i}\frac{n}{p_i}+\sum_{i<j}\frac{n}{p_ip_j}-\sum_{i<j<k}\frac{n}{p_ip_jp_k}+\cdots

右辺は、n(1−1p1)⋯(1−1pr)n\left(1-\dfrac{1}{p_1}\right)\cdots\left(1-\dfrac{1}{p_r}\right) を展開した式とまったく同じです。たとえば n=30n=30 なら

φ(30)=30−(15+10+6)+(5+3+2)−1=8=30⋅12⋅23⋅45\varphi(30)=30-(15+10+6)+(5+3+2)-1=8=30\cdot\frac12\cdot\frac23\cdot\frac45

素数のべき pep^e なら、互いに素でないのは pp の倍数 pe−1p^{e-1} 個だけなので φ(pe)=pe−pe−1\varphi(p^e)=p^e-p^{e-1} です。

オイラーの定理

11 から nn までで nn と互いに素な数を r1,r2,⋯ ,rmr_1,r_2,\cdots,r_m(m=φ(n)m=\varphi(n))とします。aa と nn は互いに素とします。

  1. ar1,ar2,⋯ ,armar_1,ar_2,\cdots,ar_m は、どれも nn と互いに素です(aa も rir_i も nn と共通の素因数をもたない)。
  2. これらを nn でわった余りはすべて異なります。もし ari≡arj(modn)ar_i\equiv ar_j\pmod n なら、nn が a(ri−rj)a(r_i-r_j) をわり切り、aa と nn は互いに素なので nn が ri−rjr_i-r_j をわり切ります。∣ri−rj∣<n|r_i-r_j|<n なので ri=rjr_i=r_j。
  3. よって、ar1,⋯ ,armar_1,\cdots,ar_m の余りは、r1,⋯ ,rmr_1,\cdots,r_m を並べかえたものです。全部かけると
am r1r2⋯rm≡r1r2⋯rm(modn)a^m\,r_1r_2\cdots r_m\equiv r_1r_2\cdots r_m\pmod n

r1r2⋯rmr_1r_2\cdots r_m は nn と互いに素なので、両辺をこれでわってよく、aφ(n)≡1(modn)a^{\varphi(n)}\equiv1\pmod n が示せました。

0123456789 10 でわった余り 3¹≡33²=9≡93³=27≡73⁴=81≡1 4回で1にもどる 4=φ(10) 赤(1,3,7,9)の中だけをぐるぐる回る
n=10n=10、a=3a=3:3 をかけるたびに、10 と互いに素な余り 1・3・7・9 の中を回り、4回(=φ(10)=\varphi(10))で1にもどる

大学受験(数学A 整数の性質)での使い方

大学受験

例題1(φ の計算)

φ(360)\varphi(360) を求めなさい。

解き方

360=23⋅32⋅5360=2^3\cdot3^2\cdot5。

φ(360)=360⋅12⋅23⋅45=96\varphi(360)=360\cdot\dfrac12\cdot\dfrac23\cdot\dfrac45=96。

答え 9696

大学受験

例題2(下2けた)

320263^{2026} の下2けたを求めなさい。

解き方

33 と 100100 は互いに素で、φ(100)=100⋅12⋅45=40\varphi(100)=100\cdot\dfrac12\cdot\dfrac45=40。オイラーの定理より 340≡1(mod100)3^{40}\equiv1\pmod{100}。

2026=40⋅50+262026=40\cdot50+26 なので 32026≡326(mod100)3^{2026}\equiv3^{26}\pmod{100}。

35=243≡433^5=243\equiv43、310≡432=1849≡493^{10}\equiv43^2=1849\equiv49、320≡492=2401≡13^{20}\equiv49^2=2401\equiv1。よって 326=320⋅35⋅3≡43⋅3=129≡293^{26}=3^{20}\cdot3^5\cdot3\equiv43\cdot3=129\equiv29。

(実は 320≡13^{20}\equiv1。1にもどる回数は φ(n)\varphi(n) より小さいこともある。)

答え 2929

大学受験

例題3(φ は偶数)

n≥3n\ge3 のとき、φ(n)\varphi(n) は偶数であることを示しなさい。

解き方

kk が nn と互いに素なら、n−kn-k も nn と互いに素(nn と n−kn-k の公約数は kk もわり切る)。

そこで kk と n−kn-k を組にする。k=n−kk=n-k となるのは k=n2k=\dfrac n2 のときだけだが、n≥3n\ge3 では n2\dfrac n2 と nn の最大公約数は n2≥2\dfrac n2\ge2 なので組に入らない(nn が奇数なら n2\dfrac n2 は整数でない)。

よって互いに素な数は2個ずつ組になり、個数は偶数。

答え 示せた

高校の範囲をこえる内容と入試での使い方

  • 範囲外の内容:高校の数学Aの整数では、約数・倍数、ユークリッドの互除法、1次不定方程式などを学びます。オイラー関数 φ(n)\varphi(n) とオイラーの定理は教科書の範囲外です(合同式も発展として扱われることが多い内容です)。
  • 答案で使うなら証明してから:証明は上のように短いので、記述式で使うときは「並べかえ」の議論を書いてから使うのが安全です。下2けた程度なら、31,32,⋯3^1,3^2,\cdots の余りを順に調べて「1にもどる周期」を見つける方法でも答案になります。
  • 見当づけ・検算に強い:「aNa^N をわった余り」「下何けた」の問題で、まず φ(n)\varphi(n) で周期の見当をつけ、答案では実際の周期を確かめて書く、という使い方がおすすめです。
  • インターネットで使われるRSA暗号のしくみは、オイラーの定理が土台です。難関大の入試でも、整数のべき乗の余りの問題で背景になっていることがあります。

よくある間違い

腕でバツを作る合格先生

合格先生

aa と nn が互いに素でないと使えない。242^4 は10でわって1にならないぞ。

  • aa と nn が互いに素でないのに使う:φ(10)=4\varphi(10)=4 ですが、24=16≡6(mod10)2^4=16\equiv6\pmod{10} で1になりません。
  • φ(mn)=φ(m)φ(n)\varphi(mn)=\varphi(m)\varphi(n) をいつでも使う:成り立つのは m, nm,\ n が互いに素のときだけ。φ(4)=2\varphi(4)=2 ですが φ(2)φ(2)=1\varphi(2)\varphi(2)=1 です。
  • 素因数の個数を引くだけにする:φ(12)\varphi(12) は 12−212-2 ではありません。12⋅12⋅23=412\cdot\dfrac12\cdot\dfrac23=4(1, 5, 7, 11)です。

練習問題

指さして説明するサクラちゃん

サクラちゃん

まず素因数分解してから φ(n)\varphi(n) を出そうね。

  1. 大学受験 φ(100)\varphi(100) を求めなさい。
    答えと解説を見る100=22⋅52100=2^2\cdot5^2 なので 100⋅12⋅45=40100\cdot\dfrac12\cdot\dfrac45=40
  2. 大学受験 71007^{100} を 1515 でわった余りを求めなさい。
    答えと解説を見るφ(15)=15⋅23⋅45=8\varphi(15)=15\cdot\dfrac23\cdot\dfrac45=8。100=8⋅12+4100=8\cdot12+4 なので 7100≡74=2401≡1(mod15)7^{100}\equiv7^4=2401\equiv1\pmod{15}。答え 11
  3. 大学受験 φ(n)=n2\varphi(n)=\dfrac n2 となる正の整数 nn をすべて求めなさい。
    答えと解説を見る(1−1p1)⋯(1−1pr)=12\left(1-\dfrac1{p_1}\right)\cdots\left(1-\dfrac1{p_r}\right)=\dfrac12。nn が奇数だと、分母をはらって 2(p1−1)⋯(pr−1)=p1⋯pr2(p_1-1)\cdots(p_r-1)=p_1\cdots p_r となり、左辺は偶数・右辺は奇数で矛盾(n=1n=1 も φ(1)=1\varphi(1)=1 で不適)。nn が偶数なら 1−121-\dfrac12 だけで 12\dfrac12 なので、ほかの素因数はない。答え n=2kn=2^k(k≥1k\ge1)

関連する公式

よくある質問

オイラー関数 φ(n) とは何ですか?

1からnまでの整数のうち、nと互いに素な(最大公約数が1の)ものの個数です。たとえば φ(10)=4(1、3、7、9)です。

φ(n) はどうやって計算しますか?

nを素因数分解し、異なる素因数pそれぞれについて (1−1/p) をnにかけます。φ(360)=360×1/2×2/3×4/5=96 です。

オイラーの定理とフェルマーの小定理の関係は?

オイラーの定理 a^φ(n)≡1 (mod n) で n を素数 p にすると、φ(p)=p−1 なのでフェルマーの小定理 a^(p−1)≡1 (mod p) になります。

入試の答案でオイラーの定理を使ってもいいですか?

教科書の範囲外なので、使うなら証明をつけるのが安全です。余りを順に調べて周期を見つける方法でも答案になります。

あわせて読みたい

出典・参考

  • 文部科学省「高等学校学習指導要領(平成30年告示)」数学A(数学と人間の活動)
  • 大学初年級の初等整数論(範囲外の発展内容)

最終更新:2026年10月11日/作成:大学受験合格大作戦