この公式のポイント
- φ(n) はn と互いに素な数の個数
- φ(n)=n∏(1−p1)(包除原理)
- a と n が互いに素ならaφ(n)≡1
- n が素数のときがフェルマーの小定理

うかるくん
φ(n) の公式で、どうして (1−p1) をかけるの?
![合格先生]()
合格先生
p の倍数を取りのぞく包除原理を、展開した形で書くとちょうどその積になるんだ。
オイラー関数とオイラーの定理
正の整数 n に対して、1 から n までの整数のうち n と互いに素なもの(最大公約数が1のもの)の個数を φ(n) と書き、オイラー関数(オイラーのファイ関数)といいます。φ(1)=1 とします。
オイラー関数の公式とオイラーの定理
n=p1e1p2e2⋯prer(pi は異なる素数)のとき
φ(n)=n(1−p11)(1−p21)⋯(1−pr1)とくに φ(p)=p−1、φ(pe)=pe−pe−1。
オイラーの定理:a と n が互いに素なら
aφ(n)≡1(modn)
1〜30 のうち 30 と互いに素な数は8個。φ(30)=8
n=p(素数)のときは φ(p)=p−1 なので、オイラーの定理はフェルマーの小定理 ap−1≡1(modp) になります。オイラーの定理は、フェルマーの小定理を素数でない n に広げたものです。
証明
φ(n) の公式(包除原理)
1 から n までのうち、n と互いに素でない数は、n の素因数 p1,⋯,pr のどれかでわり切れる数です。1 から n までに pi の倍数は pin 個、pipj の倍数は pipjn 個、…あります。包除原理より、どれでもわり切れない数の個数は
φ(n)=n−i∑pin+i<j∑pipjn−i<j<k∑pipjpkn+⋯
右辺は、n(1−p11)⋯(1−pr1) を展開した式とまったく同じです。たとえば n=30 なら
φ(30)=30−(15+10+6)+(5+3+2)−1=8=30⋅21⋅32⋅54
素数のべき pe なら、互いに素でないのは p の倍数 pe−1 個だけなので φ(pe)=pe−pe−1 です。
オイラーの定理
1 から n までで n と互いに素な数を r1,r2,⋯,rm(m=φ(n))とします。a と n は互いに素とします。
- ar1,ar2,⋯,arm は、どれも n と互いに素です(a も ri も n と共通の素因数をもたない)。
- これらを n でわった余りはすべて異なります。もし ari≡arj(modn) なら、n が a(ri−rj) をわり切り、a と n は互いに素なので n が ri−rj をわり切ります。∣ri−rj∣<n なので ri=rj。
- よって、ar1,⋯,arm の余りは、r1,⋯,rm を並べかえたものです。全部かけると
amr1r2⋯rm≡r1r2⋯rm(modn)
r1r2⋯rm は n と互いに素なので、両辺をこれでわってよく、aφ(n)≡1(modn) が示せました。
n=10、a=3:3 をかけるたびに、10 と互いに素な余り 1・3・7・9 の中を回り、4回(=φ(10))で1にもどる
大学受験(数学A 整数の性質)での使い方
大学受験例題1(φ の計算)
φ(360) を求めなさい。
解き方
360=23⋅32⋅5。
φ(360)=360⋅21⋅32⋅54=96。
答え 96
大学受験例題2(下2けた)
32026 の下2けたを求めなさい。
解き方
3 と 100 は互いに素で、φ(100)=100⋅21⋅54=40。オイラーの定理より 340≡1(mod100)。
2026=40⋅50+26 なので 32026≡326(mod100)。
35=243≡43、310≡432=1849≡49、320≡492=2401≡1。よって 326=320⋅35⋅3≡43⋅3=129≡29。
(実は 320≡1。1にもどる回数は φ(n) より小さいこともある。)
答え 29
大学受験例題3(φ は偶数)
n≥3 のとき、
φ(n) は偶数であることを示しなさい。
解き方
k が n と互いに素なら、n−k も n と互いに素(n と n−k の公約数は k もわり切る)。
そこで k と n−k を組にする。k=n−k となるのは k=2n のときだけだが、n≥3 では 2n と n の最大公約数は 2n≥2 なので組に入らない(n が奇数なら 2n は整数でない)。
よって互いに素な数は2個ずつ組になり、個数は偶数。
答え 示せた
高校の範囲をこえる内容と入試での使い方
- 範囲外の内容:高校の数学Aの整数では、約数・倍数、ユークリッドの互除法、1次不定方程式などを学びます。オイラー関数 φ(n) とオイラーの定理は教科書の範囲外です(合同式も発展として扱われることが多い内容です)。
- 答案で使うなら証明してから:証明は上のように短いので、記述式で使うときは「並べかえ」の議論を書いてから使うのが安全です。下2けた程度なら、31,32,⋯ の余りを順に調べて「1にもどる周期」を見つける方法でも答案になります。
- 見当づけ・検算に強い:「aN をわった余り」「下何けた」の問題で、まず φ(n) で周期の見当をつけ、答案では実際の周期を確かめて書く、という使い方がおすすめです。
- インターネットで使われるRSA暗号のしくみは、オイラーの定理が土台です。難関大の入試でも、整数のべき乗の余りの問題で背景になっていることがあります。
よくある間違い
![腕でバツを作る合格先生]()
合格先生
a と n が互いに素でないと使えない。24 は10でわって1にならないぞ。
- a と n が互いに素でないのに使う:φ(10)=4 ですが、24=16≡6(mod10) で1になりません。
- φ(mn)=φ(m)φ(n) をいつでも使う:成り立つのは m, n が互いに素のときだけ。φ(4)=2 ですが φ(2)φ(2)=1 です。
- 素因数の個数を引くだけにする:φ(12) は 12−2 ではありません。12⋅21⋅32=4(1, 5, 7, 11)です。
練習問題
![指さして説明するサクラちゃん]()
サクラちゃん
まず素因数分解してから φ(n) を出そうね。
- 大学受験 φ(100) を求めなさい。
答えと解説を見る
100=22⋅52 なので 100⋅21⋅54=40 - 大学受験 7100 を 15 でわった余りを求めなさい。
答えと解説を見る
φ(15)=15⋅32⋅54=8。100=8⋅12+4 なので 7100≡74=2401≡1(mod15)。答え 1 - 大学受験 φ(n)=2n となる正の整数 n をすべて求めなさい。
答えと解説を見る
(1−p11)⋯(1−pr1)=21。n が奇数だと、分母をはらって 2(p1−1)⋯(pr−1)=p1⋯pr となり、左辺は偶数・右辺は奇数で矛盾(n=1 も φ(1)=1 で不適)。n が偶数なら 1−21 だけで 21 なので、ほかの素因数はない。答え n=2k(k≥1)
関連する公式
よくある質問
オイラー関数 φ(n) とは何ですか?
1からnまでの整数のうち、nと互いに素な(最大公約数が1の)ものの個数です。たとえば φ(10)=4(1、3、7、9)です。
φ(n) はどうやって計算しますか?
nを素因数分解し、異なる素因数pそれぞれについて (1−1/p) をnにかけます。φ(360)=360×1/2×2/3×4/5=96 です。
オイラーの定理とフェルマーの小定理の関係は?
オイラーの定理 a^φ(n)≡1 (mod n) で n を素数 p にすると、φ(p)=p−1 なのでフェルマーの小定理 a^(p−1)≡1 (mod p) になります。
入試の答案でオイラーの定理を使ってもいいですか?
教科書の範囲外なので、使うなら証明をつけるのが安全です。余りを順に調べて周期を見つける方法でも答案になります。
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出典・参考
- 文部科学省「高等学校学習指導要領(平成30年告示)」数学A(数学と人間の活動)
- 大学初年級の初等整数論(範囲外の発展内容)
最終更新:2026年10月11日/作成:大学受験合格大作戦