徒然草「あだし野の露消ゆる時なく」原文と現代語訳(印刷用・A4)

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原文は教科書で広く読まれる形に整えたもの(本によって語句が少しちがいます)、現代語訳は合格大作戦のオリジナルです。

原文現代語訳
1あだし野の露消ゆる時なく、鳥部山の煙立ち去らでのみ住み果つるならひならば、いかにもののあはれもなからん。あだし野の露が消える時がなく、鳥部山の(火葬の)煙が消え去らないままで、(人が)いつまでもこの世に住み続けるのがきまりであるならば、どんなにか、しみじみとした味わいもないことだろう。
2世は定めなきこそいみじけれ。この世は、無常で定まりがないからこそ、すばらしいのだ。
3命あるものを見るに、人ばかり久しきはなし。かげろふの夕べを待ち、夏の蟬の春秋を知らぬもあるぞかし。命のあるものを見ると、人間ほど長生きするものはない。かげろうが(朝に生まれて)夕方を待つほどの命で死に、夏の蟬が春や秋を知らない(で死ぬ)ようなものもあるのだよ。
4つくづくと一年を暮らすほどだにも、こよなうのどけしや。飽かず、惜しと思はば、千年を過ぐすとも、一夜の夢の心地こそせめ。しみじみと一年を暮らすあいだでさえも、このうえなくゆったりとしている(長い)ものだよ。(それなのに命を)満足せず、惜しいと思うならば、たとえ千年を過ごしても、一夜の夢のような(短い)気持ちがするだろう。
5住み果てぬ世に、みにくき姿を待ちえて、何かはせん。命長ければ辱多し。いつまでも住み続けることのできないこの世に、(年老いた)みにくい姿になるのを待ちうけて、何になろうか、いや何にもならない。命が長いと、恥をかくことも多い。
6長くとも、四十に足らぬほどにて死なんこそ、めやすかるべけれ。長くても、四十歳にならないくらいで死ぬようなことが、見苦しくない(よい)だろう。
7そのほど過ぎぬれば、かたちを恥づる心もなく、人に出でまじらはんことを思ひ、夕べの日に子孫を愛し、さかゆく末を見んまでの命をあらまし、ひたすら世をむさぼる心のみ深く、もののあはれも知らずなりゆくなん、あさましき。その年ごろを過ぎてしまうと、(老いた)容姿を恥じる心もなくなり、人の中に出てまじわろうとすることを考え、人生の夕暮れ(老年)に子や孫をかわいがり、(その子孫が)栄えていく将来を見とどけるまでの命を期待し、ひたすらこの世(の名誉や利益)に執着する心ばかりが深くなり、しみじみとした情趣もわからなくなっていくのは、なさけないことだ。