徒然草「人は己をつづまやかにし(許由)」原文と現代語訳(印刷用・A4)

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原文は教科書で広く読まれる形に整えたもの(本によって語句が少しちがいます)、現代語訳は合格大作戦のオリジナルです。

原文現代語訳
1人は、おのれをつづまやかにし、おごりを退けて、財を持たず、世をむさぼらざらんぞいみじかるべき。人は、自分の身をつつましくし、ぜいたくをしりぞけて、財産を持たず、世間の名誉や利益をむやみに欲しがらないようなのが、すばらしいにちがいない。
2昔より、賢き人の富めるはまれなり。昔から、賢い人で裕福である者はめったにいない。
3唐土に許由といひつる人は、さらに身にしたがへる貯へもなくて、水をも手してささげて飲みけるを見て、なりひさごといふ物を人の得させたりければ、中国に許由といった人は、まったく身につけた財産もなくて、水さえも手ですくって飲んでいたのを見て、ひょうたんというものをある人が与えたところ、
4ある時、木の枝に掛けたりければ、風に吹かれて鳴りけるを、かしかましとて捨てつ。ある時、(そのひょうたんを)木の枝に掛けておいたところ、風に吹かれて鳴ったのを、やかましいと言って捨ててしまった。
5また手にむすびてぞ水も飲みける。いかばかり心のうち涼しかりけん。また手ですくって水を飲んだのだった。どれほど心の中はすがすがしかったことだろう。
6孫晨は、冬の月に衾なくて、藁一束ありけるを、夕べにはこれに臥し、朝にはをさめけり。孫晨は、冬の間、夜具がなくて、わら一束があったのを、夕方にはこれ(の上)に寝て、朝には片づけた。
7唐土の人は、これをいみじと思へばこそ、記しとどめて世にも伝へけめ、これらの人は語りも伝ふべからず。中国の人は、これをすばらしいと思ったからこそ、書きとどめて後の世にも伝えたのだろうが、こちら(日本)の人々は、語り伝えもしないだろう。