徒然草「能をつかんとする人」原文と現代語訳(印刷用・A4)

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原文は教科書で広く読まれる形に整えたもの(本によって語句が少しちがいます)、現代語訳は合格大作戦のオリジナルです。

原文現代語訳
1能をつかんとする人、「よくせざらんほどは、なまじひに人に知られじ。芸能を身につけようとする人は、「うまくできないうちは、なまじっか人に知られないようにしよう。
2うちうちよく習ひ得てさし出でたらんこそ、いと心にくからめ。」と常に言ふめれど、かく言ふ人、一芸も習ひ得ることなし。こっそりとよく習って身につけてから人前に出ていくようなのこそ、とても奥ゆかしいだろう。」と、いつも言うようだが、このように言う人は、一つの芸も身につけることがない。
3いまだ堅固かたほなるより、上手の中にまじりて、そしり笑はるるにも恥ぢず、つれなく過ぎて嗜む人、まだまったく未熟なうちから、上手な人たちの中にまじって、悪口を言われ笑われても恥ずかしがらず、平気な顔で通して稽古に励む人は、
4天性その骨なけれども、道になづまず、みだりにせずして年を送れば、堪能の嗜まざるよりは、つひに上手の位に至り、徳たけ、人に許されて、双なき名を得ることなり。生まれつきその才能がなくても、その道で行きづまらず、自分勝手にしないで年月を過ごせば、才能があっても稽古しない人よりは、最後には上手の地位に達し、人がらも芸も高まり、人に認められて、並ぶもののない名声を得るのである。
5天下のものの上手といへども、始めは不堪の聞こえもあり、無下の瑕瑾もありき。天下に名高い名人といっても、はじめは下手だという評判もあり、ひどい欠点もあった。
6されども、その人、道の掟正しく、これを重くして放埒せざれば、世の博士にて、万人の師となること、諸道変はるべからず。けれども、その人が、その道の決まりを正しく守り、それを大切にして勝手気ままにしなかったので、世の中の手本となり、すべての人の師となることは、どの道でも変わるはずがない。