徒然草「高名の木登り」原文と現代語訳(印刷用・A4)

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原文は教科書で広く読まれる形に整えたもの(本によって語句が少しちがいます)、現代語訳は合格大作戦のオリジナルです。

原文現代語訳
1高名の木登りといひし男、人をおきてて、高き木に登せて梢を切らせしに、いと危ふく見えしほどは言ふこともなくて、有名な木登り(の名人)と(世間で)言われた男が、人に指図して、高い木に登らせて梢(木の先)を切らせたときに、とても危なく見えた間は何も言わないで、
2降るる時に、軒長ばかりになりて、「あやまちすな。心して降りよ。」と言葉をかけはべりしを、(その人が)降りて来るときに、軒の高さくらいになって、「けがをするな。気をつけて降りよ。」と言葉をかけましたので、
3「かばかりになりては、飛び降るるとも降りなん。いかにかく言ふぞ。」と申しはべりしかば、(わたしが)「これくらい(の高さ)になったら、たとえ飛び降りても降りられるでしょう。どうしてそのように言うのか。」と申しましたところ、
4「そのことに候ふ。目くるめき、枝危ふきほどは、おのれが恐れはべれば申さず。(名人は)「そのことでございます。目がくらみ、枝が危ないうちは、本人が(自分で)こわがっておりますので(わたしは何も)申しません。
5あやまちは、やすき所になりて、必ずつかまつることに候ふ。」と言ふ。けが(失敗)は、安全な所になってから、必ずするものでございます。」と言う。
6あやしき下臈なれども、聖人の戒めにかなへり。(この男は)身分の低い者であるけれども、(その言葉は)聖人の教えにぴったり合っている。
7鞠も、かたき所を蹴出だしてのち、やすく思へば必ず落つとはべるやらん。蹴鞠も、むずかしい所をうまく蹴り上げたあと、もう簡単だと思うと必ず(鞠が)落ちる、と(教えに)あるそうでございます。