枕草子「ありがたきもの」原文と現代語訳(印刷用・A4)

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原文は教科書で広く読まれる形(三巻本系)に整えたもの(本によって語句が少しちがいます)、現代語訳は合格大作戦のオリジナルです。

原文現代語訳
1ありがたきもの。舅にほめらるる婿。また、姑に思はるる嫁の君。めったにないもの。妻の父にほめられる婿。また、夫の母にかわいがられるお嫁さん。
2毛のよく抜くる銀の毛抜き。主そしらぬ従者。毛がよく抜ける銀の毛抜き。主人の悪口を言わない召し使い。
3つゆの癖なき。かたち・心・ありさますぐれ、世に経るほど、いささかの疵なき。少しの欠点もない人。顔かたちも心も態度もすぐれていて、世の中で暮らしているあいだ、少しの欠点もない人。
4同じ所に住む人の、かたみに恥ぢかはし、いささかのひまなく用意したりと思ふが、つひに見えぬこそ難けれ。同じ所(職場)に住んでいる人で、おたがいに気をつかい合い、少しのすきもなく気を配っていると思う人が、最後まで(欠点を)見せないのは、めったにない。
5物語・集など書き写すに、本に墨つけぬ。よき草子などは、いみじう心して書けど、必ずこそきたなげになるめれ。物語や歌集などを書き写すときに、もとの本に墨をつけないこと。りっぱな本などは、とても気をつけて書くけれど、必ずといっていいほど汚くなってしまうようだ。
6男、女をば言はじ、女どちも、契り深くて語らふ人の、末まで仲よき人かたし。男と女(の仲)のことは言うまい、女どうしでも、かたい約束をして親しくつきあっている人で、最後まで仲のよい人はめったにない。