枕草子「かたはらいたきもの」原文と現代語訳(印刷用・A4)

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原文は教科書で広く読まれる形(三巻本系)に整えたもの(本によって語句が少しちがいます)、現代語訳は合格大作戦のオリジナルです。

原文現代語訳
1かたはらいたきもの。よくも音弾きとどめぬ琴を、よくも調べで、心の限り弾きたてたる。そばで見ていてはらはらするもの。ちゃんと弾きこなせてもいない琴を、よく調子も合わせないで、思いきり弾きたてているの。
2客人などに会ひてもの言ふに、奥の方にうちとけ言など言ふを、えは制せで聞く心地。お客さまなどに会って話をしているときに、奥のほうで(家の者が)気をゆるめた内輪の話などをしているのを、止めることもできずに聞いている気持ち。
3思ふ人のいたく酔ひて、同じことしたる。大切に思っている人が、ひどく酔って、同じことをくり返し言ったりしたりしているの。
4聞きゐたりけるを知らで、人のうへ言ひたる。それは、何ばかりの人ならねど、使ふ人などだにいとかたはらいたし。(本人が)聞いていたのを知らずに、その人のうわさ話をしてしまったとき。それは、たいした身分の人でなくても、召し使いなどであってさえ、とてもきまりが悪い。
5旅立ちたる所にて、下衆どものざれゐたる。旅先の宿などで、身分の低い者たちがふざけ合っているの。
6にくげなるちごを、おのが心地のかなしきままに、うつくしみ、かなしがり、これが声のままに、言ひたることなど語りたる。かわいげのない赤ちゃんを、自分の気持ちではいとしく思うままに、かわいがり、いとおしがって、その子の声色をまねて、(その子が)言ったことなどを話しているの。
7才ある人の前にて、才なき人の、ものおぼえ声に人の名など言ひたる。学問のある人の前で、学問のない人が、もの知り顔の声で(昔の)人の名前などを口にしているの。
8ことによしともおぼえぬわが歌を、人に語りて、人のほめなどしたるよし言ふも、かたはらいたし。特によいとも思われない自分の歌を、人に話して聞かせて、人がほめてくれたことなどを言うのも、聞いていて恥ずかしくなる。