枕草子「五月ばかりなどに山里にありく」原文と現代語訳(印刷用・A4)

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原文は教科書で広く読まれる形(三巻本系)に整えたもの(本によって語句が少しちがいます)、現代語訳は合格大作戦のオリジナルです。

原文現代語訳
1五月ばかりなどに山里にありく、いとをかし。(旧暦の)五月ごろなどに、(牛車で)山里を出歩くのは、たいへん趣がある。
2草葉も水もいと青く見えわたりたるに、上はつれなくて草生ひ茂りたるを、ながながとたたざまに行けば、下はえならざりける水の、深くはあらねど、人などの歩むに走り上がりたる、いとをかし。草の葉も水も一面にとても青々と見えているところで、上は何事もないような顔で草が茂っている所を、長々とまっすぐに進んで行くと、その下には何とも言えないほどきれいな水があったのだなあ、(その水は)深くはないけれども、お供の人などが歩くにつれて、(しぶきが)はね上がっているのは、とても趣がある。
3左右にある垣にあるものの枝などの、車の屋形などにさし入るを、急ぎてとらへて折らむとするほどに、ふと過ぎてはづれたるこそ、いとくちをしけれ。左右にある垣根に生えている何かの木の枝などが、牛車の屋形(人が乗る箱の部分)などに入ってくるのを、急いでつかんで折ろうとするうちに、さっと通り過ぎて手からはずれてしまうのは、とても残念だ。
4蓬の、車に押しひしがれたりけるが、輪の回りたるに、近ううちかかりたるもをかし。よもぎが、牛車(の車輪)に押しつぶされていたのが、車輪が回るにつれて(巻き上げられて)、すぐ近くに(その香りが)ふっとただよってきたのも趣がある。