【百人一首12番】天つ風雲の通ひ路吹き閉ぢよ|意味・現代語訳・品詞分解(僧正遍昭)

【百人一首12番】天つ風雲の通ひ路吹き閉ぢよ|意味・現代語訳・品詞分解(僧正遍昭)
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この歌の要点
歌
天つ風 雲の通ひ路 吹き閉ぢよ をとめの姿 しばしとどめむ
意味
空を吹く風よ、雲の中の(天女が天に帰っていく)通り道を吹き閉ざしてくれ。天女のように美しい舞姫たちの姿を、もうしばらくここに引きとめておきたいのだ。
作者
僧正遍昭(そうじょうへんじょう)
出典
『古今和歌集』雑上・872番
決まり字
「あまつ」(3字決まり)
百人一首12番 僧正遍昭の絵札
僧正遍昭(江戸時代のかるた)

天つ風 雲の通ひ路 吹き閉ぢよ

をとめの姿 しばしとどめむ

読みあまつかぜ くものかよいじ ふきとじよ
おとめのすがた しばしとどめん

歴史的仮名遣いあまつかぜ くものかよひぢ ふきとぢよ
をとめのすがた しばしとどめむ

空の風よ、雲の通り道を吹き閉ざしてくれ。天女のように美しい舞姫たちの姿を、もうしばらくここにとどめておきたいから——宮中の舞をたたえた僧正遍昭の歌です。

現代語訳(意味)

空を吹く風よ、雲の中の(天女が天に帰っていく)通り道を吹き閉ざしてくれ。天女のように美しい舞姫たちの姿を、もうしばらくここに引きとめておきたいのだ。

語句の意味

語句読み意味・ポイント
天つ風あまつかぜ空を吹く風。「つ」は「の」と同じ働きをする古い格助詞です。
雲の通ひ路くものかよいじ雲の中にあると考えられた、天と地を行き来する通り道。
吹き閉ぢよふきとじよ「吹き閉ざしてくれ」。命令形です。
をとめおとめここでは、宮中の五節(ごせち)の舞を舞う少女たちを、天女に見立てています。
とどめむとどめん「とどめておこう(とどめたい)」。「む」は意志の助動詞です。

品詞分解

歌を単語に分けて、品詞と意味を示しています。色の付いた行が入試で特に問われる部分です。

単語品詞・活用意味・用法
天つ風名詞呼びかけ
雲名詞
の格助詞
通ひ路名詞
吹き閉ぢよ動詞・ダ行上二段「吹き閉づ」命令形
をとめ名詞舞姫(天女に見立てる)
の格助詞
姿名詞
しばし副詞しばらく
とどめ動詞・マ行下二段「とどむ」未然形
む助動詞「む」終止形意志

表現技法・文法のポイント

見立て

舞姫たちを、舞い終わると天に帰ってしまう天女に見立てています。

三句切れ

「吹き閉ぢよ」で切れ、下の句で理由を述べています。

意志の「む」

「とどめむ」は「とどめておきたい」という強い気持ちです。

歌の背景・鑑賞

『古今和歌集』雑上に入っています。詞書には、五節の舞姫を見て詠んだ歌とあります。五節の舞は、秋の収穫を祝う宮中の行事で、選ばれた少女たちが舞いました。天女が舞い降りて舞ったという伝説がもとになっています。この歌は、作者が出家する前、良岑宗貞(よしみねのむねさだ)という名で宮中に仕えていたころの作です。

諸説・伝説――想像をふくらませてみよう

昔のことなので、はっきりしないことも多くあります。ここでは、言い伝えやいろいろな説を紹介します。

出家の理由は?

遍昭は、仕えていた仁明天皇が亡くなると、妻にも告げずに出家したという話が『大和物語』などに残っています。華やかな宮廷人だった宗貞が、なぜすべてを捨てたのか。主君への忠義だったのか、別の思いがあったのか、いろいろな想像がふくらみます。

五節の舞と天女

五節の舞は、天武天皇が吉野で琴を弾いていると、天女が舞い降りて舞ったという伝説が起源とされます。遍昭はその伝説を知っていたからこそ、「天女が天に帰ってしまわないよう、雲の道を閉ざしてくれ」と詠んだのでしょう。

親子で百人一首に

21番の素性法師は遍昭の子で、父のすすめで出家したと伝えられます。親子で百人一首に選ばれた例の一つです。

作者:僧正遍昭

平安時代前期の僧侶・歌人です。桓武天皇の孫で、出家前は良岑宗貞と名のり、仁明天皇に仕えました。天皇が亡くなると出家し、のちに僧正という高い位まで昇ったので「僧正遍昭」と呼ばれます。六歌仙の一人で、21番の素性法師は遍昭の子です。

決まり字と覚え方

百人一首12番の取り札(下の句)
取り札
あまつ3字決まり

上の句が「あまつ」まで読まれたら、取り札が決まります。「あ」で始まる歌は16首あります。

覚え方:「あまつ」と聞いたら「をとめのすがた」。天(あま)つ乙女(をとめ)、と天女のイメージで覚えます。7番「あまの」と3字目で分かれます。

入試で問われるポイント

  • 格助詞「つ」(=の)
  • 命令形「吹き閉ぢよ」
  • 意志の「む」
  • 五節の舞(古文常識)

よくある質問

「をとめ」とは誰のことですか?

宮中の五節の舞を舞う少女たちのことです。その美しさを天女に見立てています。

「天つ風」の「つ」は何ですか?

「の」と同じ意味の古い格助詞です。「天の風=空を吹く風」となります。

作者はお坊さんなのに舞姫の歌を詠んだのですか?

この歌は出家する前、宮中の役人だったころに詠んだものです。

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画像:絵札「Hyakuninisshu 012」(パブリックドメイン)、取り札「Torifuda 012」(Cookai1205・CC0)/いずれも Wikimedia Commons。歌の本文・出典は『古今和歌集』ほか複数の資料で確認しています。
大学受験合格大作戦 最終更新:2026-10-04